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8話 ページ9

白石side



現場は思ったより残酷な姿だった。



私たちは鉄骨が刺さった杉原さんの処置を進めていた。




藍「前は3メートル。後ろもおそらく2メートルはあるだろう。一気に抜ける長さじゃない。」



鉄骨を切るまでには1時間はかかる。




救える命も救えない。




応急処置を終えて、救える手段を探して30分。



藍「まずいな。」


白「そうね。




早く車から出して遮断を解除しないと腸管が壊死し始める。もう30分ももたない」






藍「腹部を切って鉄筋から外そう。腹壁から腹腔内まで切開して、鉄筋から体を横に外す。」


白「腸管や結腸動脈の処理はどうする?」


藍「もちろん全て遮断する。」




救える可能性があるなら経験が無くても最前を尽くす。




何年も一緒にいない息子さんからすればお父さんの情報なんてひとつも知らない。



そんな彼に耕作…藍沢先生が言った。




剛「1人で惨めに死ねよって。俺、10年ぶりに会った父親にそう言ったんです。本当に伝えたかったのはそんなことじゃなかったのに…」


藍「よく逃げた。


11歳だ。家を出れば自分以外に頼れ人間がいなくなることは想像出来たはずだ。不安もあっただろう。


子供は親を選べない。ダメな親だった場合、子供にできることはひとつしかない。そこから逃げることだ。


君は勇敢だったと思う。」



この言葉が響いたのか



剛「…やってください。それで、助けてください。」


藍「全力を尽くす。君が本当に伝えたかったことを伝えられるように。」





藍沢先生の言葉で剛志さんは嫌いだった父親に対する思いが変わっていた。









そして、助けられるように最前尽くすため






治療に当たった。





経験はない。






だけど、救えた命には変わりなかった。

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aoi20060520(プロフ) - 更新楽しみに待ってます! (2019年2月23日 22時) (レス) id: fa456972a3 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - のえるさん» 楽しみにしてますね! (2018年11月15日 22時) (レス) id: aafacab0de (このIDを非表示/違反報告)
のえる(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2018年11月12日 22時) (レス) id: 826e548b7f (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - この小説めっちゃ好きです!次も楽しみにしてますね! (2018年11月11日 23時) (レス) id: aafacab0de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のえる | 作成日時:2018年10月24日 21時

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