shp…甘さに溺れる(後編) ページ42
「自分の行動で疑われるんやったらしゃあないですけど…見せたくないです」
やっぱり…。
見せたくないってそういう事だよね。
浮気してるんだ…そうなんだ。
「…いい、分かった。お風呂入ってくる」
ぐわん、ぐわん。
頭の中がぐちゃぐちゃになって、何も考えられなくて、ただその答えだけが繰り返されて突き刺さって叩きつけられて砕かれて。
気づけばボタボタと涙が溢れていた。
「えっ!!してませんよ!?やから泣かんとって下さい!!」
脱衣所に向かう私の手をショッピ君が掴んで振り向かせる。
泣き顔を見られたくないし、顔を見たくもない。
「やだ、離してっ、もういい!他の女の子んとこ行けば良いじゃん!!」
「そういう意味やないですって!!」
「離してよ!!」
この期に及んでまだ嘘をつくのかとカッとなり、掴まれた手とは反対の右手を振り被ると、ショッピ君は私にスマホの画面を向けた。
「見せますから!!」
「……ぐすっ、私、の写真」
「すいません。ロック画面とかホーム画面とか、全部Aさんにしとんの見られたくなくて隠してました」
「…へ?」
じゃあ机に伏せてたり、隠したり、持って行ってたのは。
「通知とか来ると見えてまうし、ホーム画面もとかキモいでしょ…あぁ、しんと良かった」
「…浮気は?」
「は?しませんよ」
「…寝顔の隠し撮り?」
「それは言わんとって下さい、もっとキモいでしょ」
「ぐすっ…キモくないしっ」
わあっと泣きながらショッピ君に抱きつくと、強く抱き返された。
耳元で小さく「怖かった…」と彼は呟いた。
「俺のせいですけど、ほんま…別れるとかせんとって下さい。Aさんおらんとか、俺やってかれへん」
「私もやだ、ごめんね。ごめんなさい、本当にごめ」
言い終わる前に抱き抱えられ、唇で塞がれた。
そのままベッドまで連れてかれて、抱き合ったまま、唇を重ねたまま体を倒していく。
「疑われへんくらい伝えますんで、それ受け止めてくれたら許しますよ」
にっこり微笑むショッピ君は、私を見下ろしながらちらりと舌を覗かせた。
「風呂は後で入りましょうね?あぁそれと、"もう無理"は今日聞く気ないんで」
私に覆い被さるように体を沈めながら深く口付けるショッピ君を、私は全て受け入れるために彼の背中に腕を回す。
「A」
された事のない呼び捨てに、背中が弓形に反る。
「ショッピ君…」
「好きやっていっぱい言うて」
「…好き」
「もっと…」
キスを交わす度、もっと深く繋がっていく。
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作者名：芝谷
| 作成日時：2019年11月6日 19時
