em…痺れるほどの甘さ(後編) ページ40
甘えて下さいなんて言うの恥ずかしいけど、でも私だって彼女だし大好きな彼氏は支えたい。
そして、どうか無理はしないでほしいって伝わってほしい。
心から、あなたが大切だから。
「…ありがとう、心配してくれて」
ぽかんとして私を見上げていたエミさんは耳が少し赤くなって、いつものちょっと抜けちゃってる時の柔らかい笑顔になってくれた。
「でも、その、おっさんが甘えたらキモいとか…思われへんかなって」
「私は彼女でs…彼女だよ!寧ろ嬉しいです!!」
「はははっ、せやな。うん、俺もなんか、Aさんにそう言われて嬉しいわ」
照れ笑いした時のエミさんの顔は、いつもきゅーっと私の心を締め付ける。
緩んだ頰をぱちりと叩き、ここは私がしっかりしなきゃと気合いを入れる。
「珈琲、淹れてきますねっ」
コポコポ、リビングに静かにお湯が沸く音がする。
珈琲豆の良い香りに浸っていると、背中に温もりを感じた。
瞬間、心臓は跳ね上がり鼓動がトクトク速まっていく。
「…すいません」
「だっ、大丈夫です」
エミさんだ、エミさんが私を優しく抱きしめてる。
「ちょっと、その…疲れたというか。処理しきれなくて頭が重くて」
「…休みましょう?」
「はい」
そう言って、エミさんは私の肩に顔を埋めた。
こんな事初めてで、嬉しいのとそんなに無理をしてたんだと余計に彼を想う気持ちで切なくなった。
そして自分では予測できなかった行動を、気づいたら取っていた。
「…Aさん?」
「きっと、こっちの方が、良いと思うんです」
「…うん」
エミさんの腕の中で体を回して、疲れ切った彼の体を正面から優しく抱く。
いつもは狼狽えたり焦ったりするエミさんが、力を抜いて私の肩にまた顔を埋める。
「お疲れ様です、エミさん」
私に凭れるように項垂れたエミさんの頭と背中を優しく撫でると、深く呼吸したエミさんが体を起こして私の唇に触れるだけのキスをした。
「甘えたいというか、甘いもんが欲しくて…その、Aさんが…」
「…何です?」
トクン、トクン。
二人の鼓動が重なっていく。
「…めっちゃAさんが欲しいんやけど、ええかな?ごめ、キモかっ…」
彼のシャツをぐいっと引っ張って、私からの不器用なキス。
一呼吸、目を合わせて微笑み合うと今度は時間が止まってしまったかのような甘いキスをする。
言葉は要らない、ただ貴方が欲しい。
重なり合う唇で好きと言って、脳が痺れるくらいに甘いキスを。
たまには理性を放棄して。
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作者名:芝谷 | 作成日時:2019年11月6日 19時