rb…甘く優しく(後編) ページ36
「早くお家帰るよ!」
「え、何で?ちょお待てよ、どうしたん!!」
「ここではちょっとなの!!」
「何がやねん!!」
その場に踏み止まろうとするロボロの手を引っ張ってデパートを出て、電車に乗ってロボロの家に帰る。
その間、私はむっとした顔を続けていて、ロボロはずっと意味が分からないと言った様子だった。
「早くお上がり下さい!!」
「怒ってんのか笑かしてんのかどっちやねん、も〜」
「ロボロが分からず屋だから!!」
靴を脱いで部屋に上がったところを見計らい、私はロボロに飛びつくように抱きついた。
ロボロはバランスを崩す事もなく、私を抱きとめてくれる。
「私は、これくらいがいいの」
「はあ?」
「隣を見てもすぐそばに居て、横を向けばすぐ近くに顔があって、ぎゅってしやすくて…」
「…しやすくて?」
何かを待つように微笑むロボロの顔が近くて恥ずかしくなるけど。
「…これもしやすいから」
自分から、ロボロにキスをする。
背伸びしなくてもすぐ届く距離、見上げなくても目を開ければ自然と視線は交わって、大好きな相手が目の前にいて。
「可愛い事言うな、なんやねん」
「私はロボロがいいの」
「気にした自分が恥ずかしいやん…なぁ。もっかいして、Aから」
「…うん」
そう言って、どちらが先なのかも分からないキスを交わす。
右手を繋いで、左手で互いの頰に触れて。
ロボロのキスは優しくて、時折ふと唇が離れた時にお互いの口元は笑っていて、それが嬉しくてまた重ねる。
目を閉じて交わして、開ければ相手がそこにいて微笑んでいて。
「…幸せ」
どちらともなくそう溢れる。
「嬉しいけど、俺も男やからな」
「ん?」
そう言ったロボロは急に身を屈めて、私をお姫様抱っこした。
「わあっ」
「ちっちゃくてもAの事は抱っこできんで?」
「ふふっ、どこ連れてくの?」
「内緒」
お姫様抱っこをされたままキスをするのも好きだ。
ロボロの腕の中で、私は惜しみない愛情に身を委ねる。
「こうやったら見下ろせるな」
今度はロボロからキスをされる。
降ってくるような、今度は少し強引なキス。
お姫様気分で、私はロボロに身を任せる。
「あん時、その本取ったの」
「あぁ、あの人?」
「…あれ、サングラスしとったから分からへんかったけど今思えばあの声チーノやろ」
「えっ!!」
そのあと、チーノからロボロにLINEが来て予感は的中した。
『梯子背負っとった方がええんちゃう?』
動画でも暫しネタにされたとか。
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作者名:芝谷 | 作成日時:2019年11月6日 19時