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「一緒に寝る？」
『は！？』
「んはは、顔真っ赤やで」
『うるさ！もう外で寝てよ！』
「ひど〜い」
掛け布団を頭まで被って壁側に向いた私を見て、シャオちゃんはくすくす笑って再び布団に寝転んだ。自分以外の布擦れの音がもどかしい。まだ夏とは到底言えない季節なのに、自分の体温が上がったせいで灼熱と貸した掛け布団を蹴り飛ばしたくなる。
「明日何時に起きるん？」
『7時かな』
「うへえ、早いなあ」
『朝練の日はもっと早いでしょ』
「朝練無い日に起きるにしては早いってことですぅ」
真っ暗な部屋の中で会話が続く。林間学校に戻ったみたいで何だかどきどきする。
ぽつり、ぽつりと会話のテンポがゆっくりになっていき、そのうち返答が寝息となって返ってくる。私もその呼吸音を聞いて目を閉じる。暗い部屋だったのに更に深い暗闇に包まれ、時折ちかちかと残光が点滅しては弾けて消える。
いつもよりはやく動いて疲れた心臓が普段の拍動へと戻っていく。微睡んで来た頃、ぎしり、という音が私の耳元で脆く鳴った。
「……ごめん。やっぱ、そっち行っていい？」
アラームの音で目が覚める。目覚めの良い朝を迎えたいがためにアラーム音を好きな曲に設定したのに、起床の合図になってしまったせいで今ではすっかり嫌いになってしまった。
カーテンの隙間から漏れる朝日で目蓋が重い。手探りでiPhoneを探してアラームを止める。なんだこれ、なんでこんなに動きにくいんだ。
起きなきゃ、朝ごはん作って、支度して……と朝のルーティーンを寝ぼけ眼のまま反芻している時に気付く。私の顔のすぐ隣、私を抱きしめるように眠るシャオちゃんの顔。
……ああ、そういえば、一緒に寝たんだった。本当に一緒に寝るだけで、そういうことは勿論キスすらして来ない。ただ昔みたいに、並んで抱きしめあって寝ただけ。
『シャオちゃん、起きて。朝だよ』
声をかけても返答が無い。そのくせしっかりと私の服の裾を掴んでいるから起き上がることも難しい。暫く寝顔を堪能していると、ぐい、と身体が引かれた。
視界いっぱいに広がる、にやりと口角を上げたシャオちゃんの綺麗な顔。
「……見すぎ」
『は、はぁ！？』
「あんま見られると照れるわ」
『あ、あんたが離さないから……！』
「はいはい、オハヨー」
朝食を一緒に食べて、同じ道を歩きながら学校へ向かう。
……私が転校しなければ、本当は私たちはこうなるはずだったのかな。
続く (更新停止中)
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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