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入学して1週間、少しずつ慣れた高校生活の休み時間。未だ移動教室の際は迷子になるし、周囲の友人達とはお互い心を開ききってないせいか少しぎこちない。
中学の頃より校則が幾分も緩くなったおかげで初めて染髪をして髪色が浮いている、所謂高校デビューの奴とか、まだ1週間しか経っていないのに既にカップルが出来ていたりとか、高校生はこんなにも自由奔放なのかと少し目を疑う。
俺も中学の時は彼女が居たとはいえ、さすがにそこまで軽くなかった。本気かといえば、嘘になるが。
「今日から体験入部始まるやんか、やっぱシャオロンは野球部なん？」
「そうやなぁ。強豪らしいし入るつもり」
「俺どうしよっかなー、何も決めてへんわ」
購買で適当に買ってきた弁当を貪りながら部活について思案するロボロ。充分腹を満たせそうな大きさの弁当をペロリと平らげた後、パンを取り出して口にする。チビのくせに胃袋はデカい、ついでにナニもデカいロボロを怪訝な目で見つめると「何やねん」と抗議を食らった。
「……そういや、あの子見てへんな」
「誰？」
「うーん……誰、やろ」
煮え切らない俺の返事にまた目の前のロボロは怪訝そうに俺を見た。
見た目は全然違う。ただ、纏う雰囲気と顔立ちが、いつかの友達に似ていた気がした。
家が近所やったから毎日一緒にゲームや野球をして遊んだあの子に、どこか重なる。傷を付けてしまったまま、どこか手の届かない場所に行ってしまったあの子に、どこか似ている。
「──じゃあ、これ仮入部の用紙ね。2週間は仮入部ってことになるから、その後入る意思があれば本入部って感じで」
「はい、ありがとうございます」
初日の体験入部は簡単な説明だけで終わった。マネージャーの先輩から用紙を貰って練習風景を一瞥する。同年代の野球部志望の生徒も他に居るようで、更に活気が溢れる予感がする。
思ったより早く解散してしまったため、1度教室に戻ろうと校舎に踵を返す。校舎内に人は疎らで、殆ど俺のように体験入部に向かう人や既に帰宅している人ばかりやった。
階段をひとつ飛ばしで駆け上がり、角を曲がれば教室が並ぶ。その勢いのまま方向転換をすると、誰かとぶつかってしまった。わっ、と小さく声を出して倒れ込んでしまった女子生徒に慌てて声をかけると、いつかすれ違った、あの子やった。
「……あ、」
『……え、』
ふたりの双眸に映る情景が、絡み合った。
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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