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あれから、数年。
まさか再会すると思わなかったシャオちゃんと同じ高校になり、何故か満員電車の中でシャオちゃんの腕の中に包まれている。慣れない満員電車の息苦しさから助けてくれたのは大変有難いけど、これはこれで恥ずかしくて息が詰まる。
お互いの吐息がかかる程の距離まで近付いたのもそうだけど、足、足が。状況が状況だから仕方ない不可抗力なのは分かっているけど、どうにもこそばゆい。
電車が揺れる度にシャオちゃんの柔軟剤の匂いが鼻を掠めては私の心を荒らす。
落ち着け、彼は私を守ってくれてるんだから。この距離じゃ私の心臓の音が聞こえそうで、バレないように深呼吸をする。
……昔は、私の方が背が高かったのに。すっかり"男"に変わった幼馴染の顔を見上げる。くりくりな目は変わらない。ふわふわな髪も変わらない。声は低くなった。背も伸びた。でもあの頃の雰囲気は残っている。
物も人も移り変わるもんやからな、と口にした彼を最後に見た日を思い出す。
『──シャオちゃんは、何か変わった？』
扉が開いて流れ出した人に紛れて答えを聞けなかったことに安心してしまう自分もいた。大好きだったシャオちゃんが居なくなってしまっていたらどうしよう、なんて淡い幻想を抱いては掻き消す。
さっきまで恥ずかしくて舞い上がっていたのもきっと私だけなんだろうな。これだけ格好良くなっていれば女の子にも慣れているだろうし。……私の知らない顔も、たくさん増えているんだろうな。
「時間ある？ちょっと話さへん？」
『いいよ』
混雑する駅を抜けて、ファストフード店に向かう。学生ばかりの店内の一角に腰を下ろし、塩気の強い揚げたてのポテトを齧る。この味はどこで食べても変わらないなぁ、と当たり前のことを考えながら嚥下する。
「……Aって、チーズ苦手やなかったっけ？」
『あ、うん。昔は口に合わないって思ってたんだけど、気付いたら食べれるようになってた。何なら今めっちゃ好き』
「……ふーん」
シャオちゃんは微妙な表情を浮かべて、ハンバーガーを大きく齧った。何か引っかかること言ったかな、と不思議に思ったが私もチーズバーガーを齧って話を濁す。
食べられなかったチーズバーガーが食べられるようになった。飲めなかった炭酸が飲めるようになった。今気付けば、味覚すらも変わっている。
……変わってしまった私を、寂しがればいいのに。
そんな拗らせた感情を、いつの間にか飲めるようになった炭酸で無理やり流し込んだ。
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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