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名を呼ぶ声に振り向くと、同じクラスの女子が数人立っていた。少し意地悪な印象のある彼女達の事はあまり得意ではなかったが、何とか笑顔で返事をした。
リーダー格の子がちらりとシャオちゃん達の方を見て、「また男子と遊んでるの？」と嫌味ったらしく言った。
「うちらと遊べばいいのに」
『……シャオちゃんは、仲良しだから』
「へぇ、好きなの？」
むっとしてしまった私が冷たく言うと、嘲笑するかのように彼女達はくすくすと笑った。
シャオちゃんのことは好き。好きだけど、何で笑うの？彼女達の真意が分からなくて黙ってしまうと、彼女は大きな声でシャオちゃんを呼んだ。
何が起こっているのか分からない私を尻目に、シャオちゃんが駆け寄ってくる。シャオちゃんは私と彼女達の組み合わせに意外そうな顔をした。
「ねぇシャオロンくん。Aちゃん、シャオロンくんのこと好きなんだって」
「……は？」
『ちょっ……！』
くすくすと笑う彼女達は、淡々と告げた。シャオちゃんは心底驚いた様子で私を見た。
違う、違うよ。私がシャオちゃんに知って欲しかったのはそんなことじゃなくて、遠くに行ってしまうことで。
否定も出来ないけど肯定も出来ない慌てふためく私を置いてけぼりにして、彼女達はシャオちゃんに向き直って更に続けた。
「2人はいっつも一緒に居るけど、もしかしてシャオロンくんもAちゃんのこと好きなの？」
「……いや、俺は…」
「だって女の子と男の子がずっと一緒に居るんだよ？……まぁ男の子みたいだけど、Aちゃんだって女の子だもんねぇ？」
私の全身を舐めるように見る彼女は、まるで蛇みたいだった。ピンクの可愛い服に、お洒落な髪飾り。対して私は相も変わらずお兄ちゃんのお下がりのよれた服に短い髪。
ぐ、と唇を噛んだ私は何も言えなかった。殴りたかった。男の子だったら殴ってた。でもそれすらも出来なくて、ただただ耐えた。
突き付けられた真実は、もっと残酷だった。
「好きなの？ねぇ？」
「……うるせぇな」
「え？」
「こいつが俺のこと好きなわけないやろ！俺もこいつのこと女の子なんて思ったことないわ！」
頭が考えるより先に、足が動いた。後ろから「A！」とシャオちゃんが私の名前を呼んだけど、振り返ることも出来なかった。視界を流れる景色と共に横に流れる涙を拭うこともしなかった。
私は何も言えないまま、転校していった。
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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