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いつ、シャオちゃんに言えばいいんだろう。
隠れんぼの最中、新しく見つけた隠れ場所の看板の裏で体育座りをしながらずっとその事を考える。
鬼役のシャオちゃんはまだ数字を数えている筈。周りできゃあきゃあと声を上げながら隠れ場所を探す友達の声も、あんまり耳に入らない。
『……会えなくなるの、嫌だなぁ』
隠れんぼも野球も、ゲームも一緒に出来なくなる。春は一緒にクラス替えのパネルを見て喜ぶことが出来ない。夏は一緒にプールやお祭りに行けない。秋は一緒に焼き芋を食べれない。冬は一緒にサンタさんを待つ事が出来ない。
そんなことを考えて、ぽろぽろと涙が零れた。
遠くに行ったら、私のことなんて忘れちゃうかもしれない。
「みーつけた！」
『……あ』
逆光に照らされたシャオちゃんが、私を見つけた。シャオちゃんは涙を流す私の顔を見てわたわたと慌てた。
「ど、どしたん？どっか痛いとこあるん？」
『……ちがう』
「誰かに何か言われたん？怖いなら俺がぶっ倒してこようか？」
『……ちがうの』
「……泣くなよ、A」
遠くに行っても、忘れないで。
その言葉が言えなかった。口にしたら本当に忘れてしまいそうで、怖くて言えなかった。
新しい隠れ場所を見つけても、絶対に最初に見つけてくれるシャオちゃんが大好きだった。「お前のことは何でも分かんねん！」と自慢げに笑うシャオちゃんが大好きだった。鬼であることを忘れ、私が泣き止むまで手を繋いで頭を撫でてくれるシャオちゃんが、大好きだった。
もう、会えなくなってしまうんだ。
今日言おう、やっぱり明日言おう。
ずるずると引き摺った結果、引っ越す前日にまでなってしまった。自分で言うから言わないで、と親に口止めすらしてしまったせいで、未だにシャオちゃんは知らない。
春が差し掛かる晴れた日の放課後。春風が頬を撫でるぽかぽかとした陽気の中、皆で野球をして遊んでいる。…かく言う私は端っこで座って見学。どうしようもない焦燥感のせいで、遊んでなんて居られなかった。
明日からは、もうここには居られない。また熱くなる目頭をぐっと堪え、野球に勤しむシャオちゃんを遠くから眺める。
シャオちゃんは周りより少し背が低いくせに、野球は誰よりも上手かった。かきん、と良い音を鳴らしながらボールを遠くに飛ばし、全力で駆け抜ける彼の姿が1番眩しく見えた。
「──あれ、Aちゃん？」
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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