ぼくらのおうち｡～Mｙ sweet home～/気象ﾊﾟﾛﾃﾞｨ (ページ6)

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05.みんなで朝ごはん/N ページ6

｢｢｢いただきまぁ～す｣｣｣

テーブルに並ぶのは、トーストされた食パンと出来たてのポトフ｡

さっき剥いたリンゴと

お向かいの山田さんからのおすそわけ、甘さ控えめの特製イチゴジャム｡

山田さんはオレがじいちゃんに引き取られた頃から

ずっとオレを可愛がってくれてるおばちゃんだ｡

じいちゃんが死んだ後も何かと気にかけてくれて

おすそわけをよく持ってきてくれる｡

智が淹れてくれたコーヒーがまたいい香りで

自然と口元に笑みが浮かんだ｡

｢んふふ、ニノのポトフ美味しい♪｣

寝ぐせの取れた智が幸せそうにボウルの中の野菜をつついてる｡

｢あぁ、そう言えば｡
大ちゃんが今度する仕事ってどんな？｣

｢今度はねぇ、お寺の天井画直すの｡
昨日見せて貰ったけど、京都にある妙心寺の『八方にらみの龍』みたいでかっこよかったよ｡｣

食パンにたっぷりジャムを塗った相葉さんが、智に意味ありげな笑みを浮かべた｡

｢大ちゃん、いい絵に触れると昔みたいに“ちゃんとした絵”、描いてみたくなるんじゃない？｣

ちろっとオレを見た後、智も意味ありげに相葉さんに笑ってみせる｡

｢ふふ、まぁねぇ……｣

｢なんだよ、二人して｡
気になる笑い方するなぁ｡
“ちゃんとした絵”って、智、宮絵師になる前は画家だったとか？｣

｢………さぁ？｣

｢もう、またそうやってはぐらかす!!
オレのコト抜け者にすんなよな!!｣

相葉さんは智の幼馴染、子供の頃から仲のいい友達みたいだ｡

ここを下宿屋にしてすぐ、智は相葉さんを連れてきた｡

でもそれ以外、

オレは智のことも相葉さんのことも知らない｡

過去を聞いても毎回はぐらかされて

智はただ、じいちゃんの古くからの友人だと笑って繰り返すだけ｡

なんのかんの言ったって

二人はちゃんと仕事を持ってる大人で、オレはまだ高校生のガキだ｡

でもオレにとって二人は親友みたいなノリで

じいちゃんがいなくなった後、心を開いて喋れる数少ない大事な人達だから｡

オレの知らない話されると気になるし

教えてくれないとなんだか仲間外れにされたみたいで癪に障るの｡