24.負けるもんか!!/N ページ25
｢大天狗の爺様に右手を封じられちゃったんだ｡
ちゃんとした“絵”を描きたいけど、“絵”を描く力を取り上げられちゃった｡
今の俺じゃ、絵師として思った絵は描けない……｣
｢智……｣
朝二人が言ってた“ちゃんとした絵”ってそういう意味だったのか……
智のあんな寂しそうな顔…、
オレだってそれなりに長い付き合いだけど初めて見た……
よく分かんないけど｡
クリエイティブなことしてるヤツが、
強制的に思ったものを描けない状態にあるってのは
へらへら笑ってたって本当は辛いんだろうな……
心底寂しそうな智の横顔になんだか胸が痛い｡
相葉さんはスプーンをふりふり振りながらその先を続けた｡
｢大ちゃんがまた絵師としての力を取り戻す為の条件はただ一つ｡
日本中の物の怪達を従えて、見事百鬼夜行を成し遂げ、自分の力を他の連中に誇示すること｡
オレは大天狗様から大ちゃんを見張るように命令されたお目付け役の狐｡｣
｢でも相葉ちゃん、俺とは子供の頃からの友達だから優しいんだもんね〜｣
｢ね〜｣
……やっぱコイツら、単なる能天気なアホなのか？
｢そんで？
そんでオレのじいちゃんと智は出会うのね？｣
｢うん、ニノのじーさんと約束した通り、俺がニノを守る代わりにニノは俺のモンになったの｡｣
｢ソコが解せねぇんだよ!!
なんでオレの知らない間にハナシが纏まってんだよ!!
それに…
それに…さ…｣
智もオレを食うつもりで、じいちゃんと契約交わしたのかな？
じとっと見つめるオレの視線の意味に気付いたのか、智は慌てて首を振った｡
｢まさか…!!
ニノのこと食べようなんて、俺、思ってないからね!?
そんなことしたら一瞬で楽しみが終わっちゃうじゃない｡
涙だって血液だって超絶美味いし｡
まだ飲んでない体液だってあるしね｡
コップから溢れて、たらーりたらーり零れた水を舐め取って味わうように、まだまだニノで楽しむつもりだから｡
だから安心してね？｣
ニッコリ笑って智はオレのこと見つめるけど……｡
怖い怖い怖い怖い!!
智ヤダ!!
表現が鬼畜っぽくてなんかものすごーくヤダ!!!
｢くっそ…、
オレ…お前らなんかに絶対負けないからな…｣
｢ニノちゃんどったの？｣
｢だから絶対、お前らの思い通りになんかなってやんないからな!!｣
そうさ!
オレはここ、にのみや荘の主だ!
ココにいる限りお前らなんかに絶対喰われてやるもんか!!
25.にのみや荘へようこそ/N→←23.絵師としての器量/N
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作者名：あさり
作成日時：2014年6月17日 23時
