20.Cool!cool!cool!/N ページ21
たった一度ぶつかり合っただけで、潤君は智との力の差を歴然と感じてしまったのか｡
生存本能ってヤツが潤君から戦意を奪ったみたいだった｡
一歩智が近づいて、また一歩間合いを詰める度に
潤君は尻尾を丸く巻いてお尻で後ずさりをする｡
壁にくっついて逃げ場を失った潤君が怯えた眼で智を見つめた｡
｢助けて…｣
｢んふふ、どうしたの？
さっきまではあんなに元気だったのに｡｣
｢お願い、助けて……｣
｢ニノもそうやって潤君に命乞いしたんでしょ？
それでも潤君はニノのコト追い詰めたんだよね？
………だから許してやんない｡｣
顔色を失って口をパクパクしてる潤君に
｢決ーめた♪
二度と匂いからニノを辿れないように自慢の鼻をそぎ落としてあげる♪｣
智は柔らかく微笑みながら刀の刃に繊細な指を滑らせた｡
ふわり、まるで重さなどないみたいに｡
本物の羽根を扱うが如く、智は漆黒の刀を頭上高く振りあげる｡
｢ダメ!!
智、潤君のコト許してあげて!!｣
気がついたらオレも身を乗り出して、声張り上げて叫んでた｡
ぎゅっと眼を瞑った潤君の顔めがけて打ち込まれる刃を
刹那、受け止めたのは翔さんの煙管……｡
｢ストップ、智君｡
これ以上は洒落になんないよ｡
あなたにしては珍しいね｡
ニコニコ笑ってるけど、だいぶお熱くなっているようで｡｣
翔さんはちらりとオレを一瞥するとまた智と視線を交わす｡
｢親の躾がなってないみたいだから、体に教えてあげた方がいいかと思ってさ｡｣
｢アララ、こりゃ思ってたより重症だ(笑)
でもこれ以上はおれも育ての親として、黙って見てるワケにはいかないね｡
智君がニノに入れ込んでるのと同じように、おれも潤が可愛くて仕方ないんでね｡
どうする？
おれの呪術と智君の法術｡
どっちが強いかガチで勝負してみる？
もっとも｡
その時は人間のニノは、芥の如く消え失せると思うけど？｣
ふぅ…って深く息を吐き出した智が、刀を羽根に戻した｡
｢まさか｡
俺だって親友とガチの喧嘩なんてする気ねぇし｡｣
ちらってオレを見た後、智はまだ腰を抜かしたままの潤君に右手を差し出す｡
｢ニノもダメって言ったしね｡｣
｢ねぇねぇ、大団円迎えたんならさ｡
とりあえずみんなでカレー食べない？
オレ、腹減っちゃったし｡｣
一気に緊張がほぐれたこの場所に、能天気な相葉さんの声が響いた｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年6月17日 23時
