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恵くん、と呼ぶようになってから数日。彼と私の関係は可もなく不可もなく、今までと何の変わりもなくただ付かず離れずの距離を保っている。学校で「恵くん」なんて呼んだ日には、クラスの子に目をつけられるのは火を見るよりも明らかだ。だからこそ公私を分ける、とまではいかないが今まで通り教室内では「伏黒くん」と呼んでいる。ただ、五条さんから渡される任務を行う時はまだ緊張するけれど彼のことを名前で呼んでいる。五条さんが名前で呼んでいるからか、以前よりは呼びやすくなっていた。
。。。
梅雨の時期もすぎ、じっとりと茹だるような暑さが身近になる頃。授業終了のチャイムがなり、部活動に向かう人達の波に逆らうように図書室へ赴いた。図書室は人も少なく、静かで、なによりクーラーが効いていて夏場は過ごしやすい。呪霊が少ないというのも好きな場所である理由の一つに変わりないが。
お気に入りの作者の棚を探しながら静かに辺りを見回す。人はまばらで、本を読んだり宿題をしたり、中には机に突っ伏して寝ている人もいる。思い思いにそれぞれが過ごす、この時間は緩やかで好ましい。外から聞こえる野球部の掛け声や、楽しそうな女の子たちの高い声が静かな図書室に小さく反響している。目当ての本をみつけ、手を伸ばす。そういえば、いつだか恵くんに後ろから本を取ってもらったことがある。あの時より、少しだけ2人の距離は縮んだんだろうか。ふとそんなことを思っていたら、ガラリと少しだけ乱暴なドアを開ける音が響いた。それから「涼しい〜」と図書室には似合わないような大きな声が続く。3人ほど入ってきたんだろうか、聞き覚えのある声に思わず隠れるように棚の奥に体をずらした。
クラスの子だ。それも恵くんを好いているであろう中心人物。普段なら教室で過ごしているだろうその人たちが、滅多に来ない図書室に来たことに動揺を隠せない。私を探しに来たんだろうか、と一瞬思い浮かんだがそんなある意味自惚れのような考えはすぐに捨てた。彼女たちだって涼しさを求めて来たに違いない。自分には関係ない、そう思っても私は動けずにいた。
彼女たちは他愛ない話を始めた。ムカついた先生の話、親の小言、最近できたお店、そんな中でやはり話は恋愛へと向いていく。手の中にある本を胸の前でぎゅっと抱き締めた。気にしたくないのに、聞きたくない話ほど、いつだって耳の中に入ってくるものだ。
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雛形(プロフ) - hiyoriさん» hiyoriさんコメントありがとうございます！凄いと言っていただけて本当に嬉しいです…！私の場合小説を作る時はテーマを決めて大体のプロットを立ててから書き始めています。1話1話はそれに沿うように勢いで書いて推敲して、というような感じですね！ (2022年10月3日 8時) (
レス) id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori - 凄いです😭 どうやって小説は作るんですか？ (2022年10月2日 22時) (レス) @page5 id: 3185205e6c (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - アキさん» アキさんコメントありがとうございます！他の小説も読んでいただいた上にさらにコメントまで！本当にありがとうございます！嬉しすぎて転げ回ってしまいます…！不定期更新になりますがこれからも頑張りますね！ (2022年9月30日 1時) (レス) @page29 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 主様の書く小説どれもドストライクすぎます😭💕💕 (2022年9月23日 1時) (レス) id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - 春雪さん» コメントありがとうございます。見直したのですが名前変換できない部分が分からず、念の為更新したのですが現在も変換出来ない様でしたらどの文章の所か教えて頂けますでしょうか…？本当に申し訳ありません💦 (2022年7月24日 23時) (レス) @page9 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛形 | 作成日時：2022年1月26日 19時
