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そろそろ日が落ちる時間になる。伏黒くんに見送られるように玄関のドアノブに手をかけた時、ドアは勝手に開き思わず手を引っ込めた。
「ただいまー」
開いたドアの向こうには女の人がいた。目の前の女の人と目が合って、2人とも驚いたように口を一瞬閉じる。そのまま数秒お互いに瞼をぱちぱちとさせて目の前の人が誰なのか頭の中の記憶を辿る、が答えが出る前に伏黒くんの小さな声が聞こえた。
「、姉貴」
目の前の女の人は伏黒くんのお姉さんだった。
。。。
「ドア開けたら女の子がいるんだもん、びっくりしちゃった!」
ゆるりと伏黒くんのお姉さんは目を細くして笑う。玄関先で私たちは挨拶を交わした。
「お邪魔してました、同じクラスのAAです」
「Aちゃんね、」
差し伸べられた手に答えるように私もそっと手を伸ばした。伏黒くんのお姉さんはよろしくね、と優しく声をかけてくれる。そしてそのまま伏黒くんを横目で見てにやりと笑った。
「恵も隅に置けないね、ごめんね邪魔しちゃって」
「……そんなんじゃねぇよ。五条さんとかの繋がりだ」
伏黒くんはそっぽを向いてぶっきらぼうに答える。そんな伏黒くんの反応は何だか照れているような気がして、私も少しどきりしとした。きっと伏黒くんは家族に対しての反応を私に見られるのが嫌なんだろう。
「へえ!じゃあAちゃんは見える人なんだ」
伏黒くんのお姉さんは驚いたように私に視線を向ける。
「えと、はい。伏黒くんには色々教えて貰ってて、今日はそれでお邪魔しました。伏黒……さんは、その、」
「津美紀でいいよ」
伏黒くんのお姉さんは優しくそう言ってくれた。
「つみきさん、」
「恵も私も伏黒だし、名前で呼べばいいじゃん。ね、恵もいいでしょ」
「はぁ?」
津美紀さんがそう言うと伏黒くんは勢いよく嫌悪感を露わにする。時々伏黒くんから出る乱暴そうな一面は少しだけ怖かったが津美紀さんには効かないのか尚も笑っている。
「照れ隠しだから、恵って呼んであげて」
「おい」
「え、と……恵、くん」
私が名前を呼ぶと目の前の彼は目をパチリと開いて、すぐさま眉間に皺を寄せ小さく舌打ちをした。ちらりと津美紀さんを見ると大丈夫と言いたげにまたにっこりと笑う。津美紀さんの反応からするに彼のこの反応は本当に照れ隠しみたいなものなのだろう。めぐみ、という名前の響きは心地よく胸の中に広がっていく。
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雛形(プロフ) - hiyoriさん» hiyoriさんコメントありがとうございます!凄いと言っていただけて本当に嬉しいです…!私の場合小説を作る時はテーマを決めて大体のプロットを立ててから書き始めています。1話1話はそれに沿うように勢いで書いて推敲して、というような感じですね! (2022年10月3日 8時) (レス) id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori - 凄いです😭 どうやって小説は作るんですか? (2022年10月2日 22時) (レス) @page5 id: 3185205e6c (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - アキさん» アキさんコメントありがとうございます!他の小説も読んでいただいた上にさらにコメントまで!本当にありがとうございます!嬉しすぎて転げ回ってしまいます…!不定期更新になりますがこれからも頑張りますね! (2022年9月30日 1時) (レス) @page29 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 主様の書く小説どれもドストライクすぎます😭💕💕 (2022年9月23日 1時) (レス) id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - 春雪さん» コメントありがとうございます。見直したのですが名前変換できない部分が分からず、念の為更新したのですが現在も変換出来ない様でしたらどの文章の所か教えて頂けますでしょうか…?本当に申し訳ありません💦 (2022年7月24日 23時) (レス) @page9 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛形 | 作成日時:2022年1月26日 19時