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私に背を向けて歩いて行ってしまった伏黒君は「お前らみたいのがいるから」と言っていた。その続きの言葉は一体何だったんだろう。答えを探してみたけれど、分からなかった。



帰り道、何か騒がしい声がしてその声のする方へ行ってみると、人が積み重ねられていて、その上に伏黒君がいたのだ。手は握られていて、拳には血がついていた。嘘だと思った。

「伏黒、くん……?」

彼は少し怖いけれど、真面目だと思っていたから。人を痛めつけるような、そんな人じゃないと思っていたから。

「なにして……」

「なんでもねぇよ」

落ちてきた言葉は拒絶だった。私の前に立った伏黒君は私を見下ろしていた。彼は見るからに苛立っていた。私には関係ない、と。だからとっさに謝ってしまった。それが伏黒君の苛立ちをさらに逆なでしてしまったようだった。威圧感に押しつぶされそうだった。

「ねえ!!あ、ありがとう!!」

遮った言葉に目を向けた。彼は伏黒君を見つめて、興奮したように話を続けている。伏黒君に、助けられたのだと。

「別に、助けたわけじゃない。お前らみたいなのがいるから」

その、伏黒君の言葉に思わず視線をそちらに向けた。先ほどの威圧感は薄まっていた。それでも伏黒君はぎゅっと拳に力を込めていた。お前らみたいのがいるから、その言葉の続きを飲み込むようにして伏黒君は足を進めて、行ってしまった。私はその背中を見つめることしかできなかった。



家に帰ってからも、彼の言葉が頭の中に残っている。お前らみたいのがいるから、彼は何のためにあの人を助けたんだろうか。あの人の山は伏黒君がやったものだ。助けられた彼はきっと伏黒君をヒーローとかそんな風に思うんだろう。でもきっと伏黒君はそれは望んでいない。それはやはり、助けたわけじゃない、それが彼の本心なのだろうから。



『私、伏黒君が好きだから。取らないでよ』


もしあの場に彼女がいたら伏黒君のことをもっと好きになっていたんだろうか。弱い人を助ける、強くて、良い人。

人の恋愛感情には関わりたくはない。それこそもしかしたら負の感情を生み出してしまうかもしれないから。だから伏黒君のことは避けていた。彼女に私は敵じゃありません、と分かってもらえるように。だけど、どうしても彼のことを見てしまう。呪霊が見えるクラスメイト、祓えるクラスメイト、唯一私のことが分かる人。

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雛形(プロフ) - hiyoriさん» hiyoriさんコメントありがとうございます!凄いと言っていただけて本当に嬉しいです…!私の場合小説を作る時はテーマを決めて大体のプロットを立ててから書き始めています。1話1話はそれに沿うように勢いで書いて推敲して、というような感じですね! (2022年10月3日 8時) (レス) id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori - 凄いです😭 どうやって小説は作るんですか? (2022年10月2日 22時) (レス) @page5 id: 3185205e6c (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - アキさん» アキさんコメントありがとうございます!他の小説も読んでいただいた上にさらにコメントまで!本当にありがとうございます!嬉しすぎて転げ回ってしまいます…!不定期更新になりますがこれからも頑張りますね! (2022年9月30日 1時) (レス) @page29 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 主様の書く小説どれもドストライクすぎます😭💕💕 (2022年9月23日 1時) (レス) id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - 春雪さん» コメントありがとうございます。見直したのですが名前変換できない部分が分からず、念の為更新したのですが現在も変換出来ない様でしたらどの文章の所か教えて頂けますでしょうか…?本当に申し訳ありません‪‪💦‬ (2022年7月24日 23時) (レス) @page9 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雛形 | 作成日時:2022年1月26日 19時

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