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授業中、斜め前のほう。少し離れた席に座るAの後ろ姿を眺めていた。小さな背中は少し丸くなって、黒板に書かれたことや、教師の発言をノートに書いているのだろう。毎日毎日、まじめにノートをとって、クラスメイトにいいように使われて。Aは分かって尚、ペンを動かしているんだろう。何がそうさせているのか、それは最近やっと分かってきたことだ。
自分は生まれた時から呪霊が見えていた。小学一年生、6歳になった頃五条さんに出会った。そこから俺の人生は呪術師という枠組みの中で生きていくことを強いられた。苦ではない、それが俺という人間には相応なのだと年甲斐もなく思っていたから。Aも生まれながらにして呪霊は見えていたと、五条さんに会わせたときに言っていた。でもAの周りには理解者がいなかった。人間性を形作るといっても過言ではないだろう年齢で、あの術式を見出して。それからずっと呪霊と感覚を共有して。徐々に蝕まれていった心。
ぼんやりと眺めていた背中はやはり薄くて。そのあまりにも力ない身体で呪いを肩代わりして。
俺は呪術師として生きていかなければならない、それはあの日決まったことだ。
Aは、呪術師を強いられていない。もう呪霊に触れず、感覚を共有することもなく普通の生活をしていけばいい、それなのに。
授業の終了を告げるチャイムが、思考を遮った。
小さく頭を振る。ああ、まただ。またAのことを考えていた。
授業の合間、教室内がざわざわと音を立てる。その騒がしいクラスメイト達の声は今はありがたいものだった。もっと音を立ててほしい、考え事も全てかき消すくらいに。
机の上に広げられている教科書をやや乱暴に閉じる。
教室内にクラスメイトの声がこだましてる。一人一人の声なんてよく耳を澄まさなければ聞えないというのに、ガタリという椅子を引く音がいやに耳についた。Aが席を立っていた。何でもないただの授業の合間。ただ席を立っただけ。ほかの奴らだって席を立っているというのに、Aが椅子を引いた音に自分だけが気付いている。
なんで、こんなにもAに意識がむいてしまうのか。
同い年、同じ中学、同じクラス。呪霊が見える唯一のクラスメイト。
外に視線を向ける。日差しがまぶしくて思わず目を細めた。瞼の裏に光が差し込む。いやな光だ。あまりにも純粋な、Aが生み出すような、あの光の粒を思い出すから。
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雛形(プロフ) - hiyoriさん» hiyoriさんコメントありがとうございます！凄いと言っていただけて本当に嬉しいです…！私の場合小説を作る時はテーマを決めて大体のプロットを立ててから書き始めています。1話1話はそれに沿うように勢いで書いて推敲して、というような感じですね！ (2022年10月3日 8時) (
レス) id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori - 凄いです😭 どうやって小説は作るんですか？ (2022年10月2日 22時) (レス) @page5 id: 3185205e6c (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - アキさん» アキさんコメントありがとうございます！他の小説も読んでいただいた上にさらにコメントまで！本当にありがとうございます！嬉しすぎて転げ回ってしまいます…！不定期更新になりますがこれからも頑張りますね！ (2022年9月30日 1時) (レス) @page29 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 主様の書く小説どれもドストライクすぎます😭💕💕 (2022年9月23日 1時) (レス) id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - 春雪さん» コメントありがとうございます。見直したのですが名前変換できない部分が分からず、念の為更新したのですが現在も変換出来ない様でしたらどの文章の所か教えて頂けますでしょうか…？本当に申し訳ありません💦 (2022年7月24日 23時) (レス) @page9 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛形 | 作成日時：2022年1月26日 19時
