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そこからはとても、とてもとても熱かった。
触れ合う肌が、肌にかかる息が、私の体を撫でる舌が、全部全部全部熱くて、火傷してしまいそうで。
「っ、はぁ、はぁっ」
「はぁっ、はぁっ、」
私の体をなぞる時は、壊れ物を扱う様に触り、撫でるのに
腰を持つ手は、独占欲や快感のままに、力がこもっている。
私に覆いかぶさっている彼から落ちてくる汗をそっと拭って柔らかく笑えば
彼にまた火がついて、激しさは増す。
「っ、はぁ、っれ、れんっ」
数年ぶりにその呼び方をした。
“ あの人 ” でも
“ あいつ ” でも
“ 永瀬さん ” でもない
まだ私が、彼を心から愛していた時の、
結婚をしたいと、彼と一生を共にしたいと、
思っていた時の呼び方を。
「源氏名さんっ、そ、れは、ズルい…っ」
私にもっと必死になって？
私をもっと求めて？
「すきっ、すきや…っ、源氏名さんっ」
そう、そうやって快感の波に溺れながら私を見て？
「はぁ、はぁ、れんっ、はげ、し…っ」
快感の波に溺れながら、無我夢中で腰を振りながら
私の名前を愛おしそうに呼んで
指を絡めて
でも、無我夢中じゃなくとっても優しいキスをする。
黒い私は、体の内側から燃える様に熱くなって、満足そうに彼と体を絡めるのに
黒い私に蓋をされた本当の私は、冷たさと、虚無感に泣いていた。
蓋をされた本当の私の涙は、実際の涙となって流れることはなく、あぁ、本当に奥底に閉じ込めているのか、と他人事のように頭の片隅で考えた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
いつ間にか果てていた私と彼。
彼は私を愛おしそうに抱きしめて、本当に嬉しそうに微笑んで、キスをした。
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作者名：ash
| 作成日時：2020年1月20日 21時
