可愛くねぇ奴。 (ページ36)

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幾分か心が軽くなった翌日の今日は、昼間の仕事と夜仕事、どちらもスケジュールに入っている。

「Aさんおはよ」
「あ、おはよう」

エレベーターホールでばったり会った岩橋くんに挨拶をして今日が始まった。

『岩橋、A、おはよう』

今日は珍しく岸とも時間が被った。
うん、今日も爽やかだ。
昨日のありがとうの気持ちを、心の中で彼に送る。

「あ、ねぇAさんっ」
「ん？」

岩橋くんが、コテン、と首を傾げる。

「今日一緒にお昼食べない？」
「うん、いいよ。岸も一緒に食べない？」
『あー悪ぃ…、今日昼に会議あるんだよ』
「そっか」
『この前も誘ってくれたのにごめんな？』
「ううん、また今度食べよ」
『おう』

岸は、一瞬視線が揺れて岩橋くんを見る。

また岩橋くんに気を遣ってあげたのかな、って。
岩橋くんは気付いているのかな、って。

…私は岸とも食べたいのにな、って思う。

「Aさん、外食べに行く？」
「ううん、今日はもう買ってあるの」
「そっか、じゃあまたこの前と同じ所で食べよっか」
「うん、そうだね」

ニコニコと頬を緩めて、嬉しいなぁ、と笑う岩橋くんに私も「そんなに？」と微笑む。
その時、エレベーターが到着した音がして、私達は乗り込む。

さほど混んでもないエレベーターの中、私を挟んで左右に岸と岩橋くんがいる。

『なぁ』

「ん？」

『今日昼飯なに？』

「今聞くのそれw」

『だって昼聞けないから』

「あはは、今日はね、鮭のおにぎりとサラダ」

『いいね、うまそう』

階について私達はそれぞれの仕事場へとバラけた。

そういえば岸のお昼は何だろう。
くすり、と心が笑った。

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