可愛くねぇ奴。 (ページ21)

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「Aさん、今日はサンドイッチなんだね」
「うん、岩橋くんも？」
「うん！」

窓際の、昼の光が暖かく包む丸テーブルに私たちは向かい合う。
サンドイッチとコーヒーというセットも向かい合っている。

「あ、そうだ」
「うん？」

サンドイッチの袋を開けながら岩橋くんはこちらを見ずに何かを思い出した。

「さっきお菓子もらったんだけどAさんいる？たしかAさんが好きって言ってたやつだと思うんだけど」

マドレーヌ。

思い出すのはデスクの上の、パソコンの側に置いてある岸からもらったマドレーヌ。

「たぶん同じやつ、岩橋くんと同じ部署の方からいただいたから大丈夫。ありがとね？」
「そっかー、先越されてたんだなぁw」
「何それw」

俺より先にあげた人誰だよー、とほんの少しだけ悔しそうに笑う岩橋くんはサンドイッチを口に運んだ。

「また今度あげるね」
「そんな気使わないでいいよw」

岩橋くんは優しいね、と私もサンドイッチを口に運びながらそういえば、柄にもなく彼は耳を赤くした。

「だってあげたいんだもん」
「あ、ほっぺたぷくぷくだ」
「ぷ、ぷくぷくなんてしてないですぅ」
「ふふ、そうだねw」

岩橋くんは照れたり拗ねたりすると、無意識に頬をぷくっと膨らませる。
なんともあざとくて可愛らしい仕草だ。

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