全てを捨てて、ここに来て (ページ31)

今日:18 hit、昨日:18 hit、合計:142,165 hit

30 ページ31

nozomu▷▷

.

AAさんは、やっぱり特別だ

いつぶりだろう、友達になれてこんなにも嬉しいのは

1歩でも、半歩でも近づけて嬉しいのは

いつもは簡単に聞けた連絡先も、勇気を振り絞って聞いたのは

いつぶりだろう、こんなにも1人の人を考えてしまうのは。

ベッドに横になって携帯を開けば、新しい友達に追加されているAさんのアイコン

それを見ただけでベッドの上でゴロゴロと行ったり来たりしてしまう。

「やっべぇ…、超嬉しい…」

何て送ろうか。
何分も考えてもありきたりな文章しか思いつかない自分が嫌になるけど、仕方なく

『今日はありがとうございました、ちゃんと家着きました？』

と打ち込んだ。

あとは送信すれば済むのに、Aさんは今忙しくしていないか、とか変に色々考えてしまってそのボタンを押せずにいる。

「……………えぃ」

結局送信できたのは、文を打ってから20分後だった。

「…来たっ！！」

ガバッ、と起き上がり携帯を見つめる。

間違いなく画面にはAさんの名前があって、さっそく既読をつけると

『こちらこそありがとうございます！もう家に着いています^ ^』

と、なんともAさんのイメージにピッタリなシンプルな返信で、俺の口角は自然と上がっていた。

「普通の友達ってこんな良かったっけ」

今の俺を例えるなら、小学校に入学して初めて友達が出来て、早く学校に行って友達に会いたいと思っている小学生だ。

.

.