全てを捨てて、ここに来て (ページ25)

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捜査を初めて2週間ほどが経った。

捜査はもちろん続けているが、忙しさのピークが過ぎて、やっと通常通りの勤務時間に戻ることができた。

明日は土曜日。

最近働き詰めだった。

私の足は自然と淳太のバーに向いていた。

「え…？」

扉を開けるとそこには前回来た時には無かった光景が広がっていた。

「A」

お店の入り口で思わず立ち止まってしまった。

前回来た時には、私1人しかお客さんはいなかったはず
それなのに今日は、どこを見ても沢山の女性がグラスを傾けていた。

「A」
「あ…」
「いらっしゃい」

気付けば私の目の前に立っていた淳太。
こっちにおいで、と案内されたのはカウンターの端

「水飲む？」
「うん」
「最近忙しかったん？」

「…」

「A？」

水の入ったグラスを私の前に置いて、手を顔の前でヒラヒラさせる

「人、多いね…ビックリしちゃった」

「え？あ、あぁ。まぁな」

「あ、水ありがとう。いただきます」

「ん」

飲みながら改めて見渡してみても、やっぱり女性しかいない。

それも、友達と来ているというわけではなさそうで、ひとりひとり携帯を触ったり、リップを塗り直していたり、前髪を整えていたりと様々だ。

「いつもこのくらい混んでるの？」

「あぁ、まぁな。前回Aが来た時は波が落ち着いてたねん」

「あぁ、そういうことだったんだ」

「明日土曜やし休みやろ？ゆっくりしてきや」

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