全てを捨てて、ここに来て (ページ3)

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「やっほ」
「いらっしゃいま…」

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21:00

いつもと変わらず店を開けた。
相変わらず、ものの数分で席は望目当ての女性達でほぼ満席になった。

22:00

1人の女性が今夜も選ばれ、選ばれなかった女性達が帰り、静かになったこの店に、予想外の人物が顔を覗かせたのだ。

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「お疲れ」

このBARの扉を開け、マスターの俺にヒラヒラと手を振ったのは間違いなくAだった。

女性の中では長身で、スラリと長い手足
彼女によく似合う黒いパンツスーツ
セミロングの髪は後ろで１つに束ねられ、耳にかかるほどの前髪が後ろの束に届かず垂れている。

「ちょ、は、え、何でっ、」
「ほんとは照史と来ようってなってたんだけど、急遽照史が仕事ってことで私だけ来た」

そう言って店を見渡しながら笑って耳に前髪をかけるA。

数ヶ月ぶりに会った彼女はまた一段と強くなったように見えた。

「とりあえず、ここ…」
「うん。ありがと」

カウンターのど真ん中。
俺の目の前の席に、彼女を案内した。

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