全てを捨てて、ここに来て (ページ13)

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照史が開けてくれたベッドに横になる。

ベッドの横に敷いてある布団には照史が寝ていて、ソファには淳太が寝ている。

ソファの肘掛のところから薄っすらと光が漏れている。
淳太はまだ寝ずに携帯をいじっているみたいだ。

「っ、」

私も何気なく携帯をいじっていると、突然画面が着信画面に切り替わった。

ここで電話に出ると照史を起こしてしまうかもしれないからと、私は急いでベッドから降りてベランダに出た。

「はい、もしもし」
『もしもし、ごめんなこんな時間に』
「あ、いえ、起きていたので大丈夫です」

電話の主は濱田先輩だった。

「どうかされました？」
『俺も今部長から連絡があってさ____』

電話の内容は、緊急で使いたい資料があるからデータを送ってほしいというものだった。

部長は濱田先輩がデータを持っているものだと思っていたらしいが、実際は先輩ではなく私が持っていたため濱田先輩が伝言してくれたというわけだ。

「はい、分かりました。部長に直接送ればいいんですね？はい、分かりました。」
『ごめんなぁ、寝るとこやったやろ』
「そんなの先輩も同じじゃないですかw」

先輩の優しさに感謝しながら電話を切ると、ふわりと肩に、人の体温が染み込んだカーディガンがかかった。

「びっくりした…」
「風邪引くで。」
「あ、うん…」
「電話終わった？」

その言葉で淳太が気付いていたが待っていてくれたことに気がついた。

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