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悟「ピーターパン…かぁ。小さい頃に1度だけ学校の授業の一環として舞台を見に行ったことがあるんだけどね、あんまり覚えてないな。」
帰宅し、手洗いうがい…と楽しく
親子のように2人で最近のご時世もあり入念に済ませ、
あのソファに座る。
このソファに座る時は、お兄さんのとても
素敵ですごいお話を聞けるから私は個人的に好きだ。
目の前のテーブルに紅茶を2人分持ってきたお兄さんは、私には角砂糖を2つ、
自分の分には7個から10個ほど入れて、
スプーンでかき混ぜていた。
悟「大人になるって事は、今まで知らなかった
嫌なことでも知ることになる…って事だよね。」
「悟お兄さんは、何か嫌なことがあったの?」
悟「まぁ、今まで生きてきた中では
沢山あったよ。」
サングラスを外し、青くてキラキラと光る眼を
こちらに見せ、私の頬に手をあてがうお兄さんは、
” Aには大人になって欲しくない ”
と、悲しそうな顔でそう言った。
「でも、成長は止めること、できないよ?」
お兄さんがそう望んでも、考え方だって
身体だって全てが成長して大きくなる。
だから、お兄さんが望むならなんでもしたいけど
こればかりは叶えられない。
悟「そーんなAに問題です!
どうしてネバーランドには大人が居ないの?僕が疑問に思ってるから、Aの意見を聞かせて欲しいな。」
急にパッと明るくなったお兄さんは、
私に質問を投げかけた。
意見を聞かせて欲しい、と。
「んー、ピーターパンはきっと
小さい子が大きくならない魔法を持っていたんだよ!
だから、願いを叶うことが出来たんじゃないかな?」
両手を大きく広げ、理想論を語ってみた。
チラリとお兄さんを見ると、彼はまたもやニコリと
笑う。
悟「不正解だけど大正解!
そのまんまの考え方でいいんだよ。
身は大きくなっても純粋でいて欲しい。」
不正解だけど大正解、なんて矛盾している。
どういう意味だろうと1人考えていると、
ギュッと私の体を抱きしめたお兄さんは頭上に
顎を乗せた。
悟「僕はAに大人になって欲しくないなぁ…
ピーターパンのお話だって、小さい子からして見たら
羨ましいお話だけど、大人になったら…
そうは思えないんだから。」
「お兄さん…?」
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作者名:tsuki | 作成日時:2020年11月28日 21時