第42話 星と故人 ページ43
NOside
桜「そういえば、今見てる星はもう無いかもしれないって話聞いたことあるな…」
そう呟いて空を見上げる桜備。
貴『(ま、知らないよな…)』
こんなマイナーなロマンチックな返し、桜備が知っているとも思えない。
知らないからこそ敢えて言ったのだ。
月が綺麗ですねの返しならまだしも、星が綺麗ですねの返しだなんて国語教師ですら知ってるか怪しいものだ。
貴『(…ま、だからと言って何と言うわけでもないんだが…)』
そう考えていると桜備がポソリと凄いなぁと呟いた。
貴『…？何がです？』
桜「だって、もう無いはずの星々が今見えてるかもしれないんだろ？
つまり、無くなっても未だ俺達の事を照らし続けてくれてるってことだ。
それって、とっても凄いことだと思わないか？」
そう、楽しそうに笑う桜備にAは大きく目を見開いた。
まさか、そんな返しをされるだなんて。
貴『………ええ、そうですね。』
ふと、両親の顔が思い浮かんだ。
死んでも尚自分を導いてくれる両親が、まるで星の様に感じられたから。
ちゃり…とチェーンの擦れる音がなる。
横を見ればAが不思議な石のネックレスを愛おしそうに見つめていた。
桜「………それは…？」
貴『母の形見です』
そう言って、Aは桜備ネックレスを見せる。
貴『トリカラートルマリン。石言葉は真・善・美です
私の誕生石らしくて、私に、最期に送ってくれたもので。だからいつも服の下に付けてるんです』
そう言ってネックレスを服の中にしまうA。
本当に、本当に大事な物らしい。
貴『この形見を見るたびに、私は、生きなきゃって思えるんです』
そう、笑った彼女の笑顔はなんだか今までの笑顔よりも、年相応の物に見えて心が温まるのを感じる。
あの時の女の子が、こんなにも立派に育ってくれて本当によかったと、桜備は内心、心底安堵した。
貴『あ、大隊長、私あそこの図書館に用があるんでちょっと待っててもらえますか？』
桜「え？こんな時間に図書館なんてやってないだろ？何しに行くんだ？」
貴『最近の図書館には返却ボックスがついてるんですよ。じゃあ行ってきますね』
そう言って図書館に向かうA。
空はまだまだ暗く、日が昇る様子は無い。
けれども、暗く静かな夜道も、悪いものではないなと思う桜備だった。
ーープルルルル…ピッ
貴『…あぁ、すまん。今日は人がいるから話せないんだ
……悪かったよ。次は見つからねえ様にするから
…あぁ、あぁ。じゃあ、またな。ジョーカー』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふたば(プロフ) - この作品とても面白くて大好きです！夢主ちゃんのスパダリっぷりに思わずキュンキュンしてしまいます笑これからも執筆頑張って下さい✨ (2021年10月25日 0時) (
レス) @page50 id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2021年9月30日 18時) (レス) @page2 id: cc011a7ffe (このIDを非表示/違反報告)
陸(プロフ) - 色々ありますよね、大丈夫ですよ！ (2021年9月20日 0時) (レス) id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2021年9月18日 20時
