城下町の少女たち…小麦咲良 ページ9
「もー!Aちゃんったらかーわーいーいー!」
ほっぺを両手で包んで、からだをく体をくねくねとさせながら目の前にいる友人の名を叫ぶ。
「なーに言ってのんの咲良!あんたもかわいいよー!」
「ヤダもう!さくちゃんかわいいの常識!」
「うーわー」
「酷いっ!反応っ!」
そんな茶番を交わしていると、遠くに幕府の建物が見える。
誰にも見られないように眉を顰め、会話に戻ろうとしたその時、
「うわー!見て見て!あの中に手も届かないイケメンたちがッ!」
一人、友達が叫ぶようにそう言う。
幕府、新撰組といえば揃いも揃って美女美男ばかり。
憧れの存在というわけである。
あたしには百年たったって理解できないだろうけど。
「やっぱり幕府だったらあれだよね!賢木様に甲斐様に小麦様!」
「そうそう幕府三代イケメン!」
「私はやっぱり賢木様かなっ!大人な雰囲気がサイコッー!」
「私は……」
そんな言葉を右から左へと受け流す。
あたしにとったらみんなじゃがいもと一緒。
「咲良はどう思う!?」
目を輝かして彼女は言う。
「あっ……バカ咲良は……」
誰かが気を使ったように言った。
「だーいじょうぶよっ!あたしはねぇ……やっぱり賢木様!将軍様でしょ!?やっぱりこの世は金だよね!」
「何それ咲良サイテーッ!」
あははっ!と声が飛ぶ。
何が面白いのか、あたしにはさっぱりなのだけれど、周りに合わせて声をあげて笑う。
「でもやっぱり手の届かない将軍様よりみんなが大好きよん!」
そういうと頭をはたかれる。
「酷いッ!扱い……扱いッ!」
そう叫んで、後ろに一歩下がる。
すると彼女たちはあたしのいた場所を詰めて誰がいいかを話し始めるのだ。
「でもでも八重様とかもいい!女でも惚れるよね!あれは!」
「確かに!でもあたしは……」
あああ!やばい!帰りたいっ!
3月31日更新 トモちゃん
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すとろべり-(プロフ) - 更新しました! (2018年6月4日 12時) (レス) id: c48c36fb49 (このIDを非表示/違反報告)
すとろべり-(プロフ) - 更新します! (2018年6月4日 10時) (レス) id: c48c36fb49 (このIDを非表示/違反報告)
雪抹茶(プロフ) - 更新しましたー! (2018年6月2日 19時) (レス) id: 9248342184 (このIDを非表示/違反報告)
雪抹茶(プロフ) - 更新しまーす (2018年6月2日 18時) (レス) id: 9248342184 (このIDを非表示/違反報告)
松宮カナメ - 更新しました (2018年5月21日 14時) (レス) id: eb873f1f0d (このIDを非表示/違反報告)
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