先生、私の気持ち気づいてよ…【名前変換オリジナル】

9話 帰り道 ページ11

「大樹…」

「…あ、ダメかな？」

「いや、全っ然大丈夫」

「そか。なら良かった」


直ぐ様私の隣に歩いてきた彼

その高い身長から、幼かった彼の面影が無くて。

まるで、もう大人って感じがする

私に比べれば大人どころか正に子供って感じ。

身長は低いわ、トロいわ、馬鹿だわ、もう数えきれないくらい

結構マイナス思考だから何時も自分の事を責め続けてしまう

ネガティブ、とは自分でも思ったりして。


「ねえ、何かあった？」

「え？何が？」

「なーんか、元気無いなーって感じの顔してるから」

「え、そ、そんな事は…」


『楠先生を好きになったのかも知れない』


彼女が言った言葉が自棄に脳裏に焼き付いていた

何度首を横に振ったって離れない、もしかしたら一生離れないのかもしれない

苦しい、胸が、苦しい


「嘘つけっ」

「痛っ！？」


ピンッと私の額に彼のデコピンがくらった

人指し指でやられた彼の力加減が全く無く、地味に痛さが広まっていく

けど無邪気に笑っている彼の笑顔が、幼かった彼を思い出す


「あ〜…やったな〜…」

「…は！？ちょ、いった！？」


さっきやられたデコピンを今度は彼に食らわせた

バチッといかにも痛そうな音が小さく鳴った

ふふふ、仕返し成功〜


「さっきの仕返しでーす」

「ったあ…こんにゃろっ！」

「いった！？ちょっ、女の子には手加減してよー！！」


再び食らった彼のデコピンは、さっきより数倍痛かった

笑いながら逃げ回ってる彼の笑顔が凄く懐かしい

昔はいっつも私が追いかけ回ってたけど、今もやっぱり彼は変わってない

こうやって馬鹿やってんのも、楽しい

彼の励まし方にちょっとだけ元気が貰えた


さっきまで焼け付いていた彼女の言葉も、今だけすっかり忘れきっていた

10話 会いたくない→←8話 辛い思い

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