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『あ、』
小さくしゃがみこむ翔太を見つけて、くすり、と笑いが漏れた。なにその小ささ。可愛いサイズだな。
『翔太。』
《おー、ほんとに来た。》
『来てって言ったじゃん。いらないなら戻るよ?ママたち待ってるし。』
《待てって。今出てったら見つかるんだよ!》
普通に、会話出来ているだろうか。私たちは、今、同級生として、会話を成しているだろうか。
翔太の隣に座り込み、スマホを開いた。ママに少し待ってて、と連絡を入れる。
「あのさ、」
『ん?』
「手、出して。」
差し出した手のひらに、ぽん、と置かれたそれに、ぐっと堪えている何かが込み上げる。なにそれ、ずるいよ。私の前からいなくなるくせに。
「式終わった瞬間速攻ちぎってポケットに入れといた。」
手の上に乗せられたボタンが、どこのボタンかなんて見なくてもわかる。どうして、私に、渡すの。
「お前に、持ってて欲しい。最後に我儘聞いてよ。」
『最後、じゃ、ない。』
もっと我儘を言ってよ。私が困るほどに。
ああ、だけど、我儘を言えなくしたのは、私だった。
翔太は我儘を言おうとしてたのに、私は聞き分けのいい娘でいたかった。それこそが私の我儘だったのかもしれない。
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Date(プロフ) - 結末に思わず涙が出てしまいました、、すごく切ないけど幸せそうな姿でホッとしました!月叶さんの作品はどれも自分好みです!これからも楽しみにしてます! (2020年8月12日 6時) (レス) id: 0a5fc64a20 (このIDを非表示/違反報告)
りんめ(プロフ) - 途中で「これはまさか」って思ったらホントで、予想してたのに涙腺崩壊してしまって、そこから読んでる間ずっと泣きっぱなしでした!ホントに感動しました!幸せで良かったって感じです! (2020年8月10日 9時) (レス) id: ad68078562 (このIDを非表示/違反報告)
みんと - 最後めちゃくちゃ感動しました!こちらこそ、たくさんの楽しみ、ありがとうございました! (2020年8月7日 18時) (レス) id: 117f5f4d5e (このIDを非表示/違反報告)
月叶(プロフ) - 星架.さん» ありがとうございます。楽しんでいただけてとても嬉しいです!綺麗なだなんてそんな…恐れ多いです…次のお話も早く出せるよう、頑張ります!楽しみにしていてくださいね! (2020年8月4日 11時) (レス) id: 1352e210bb (このIDを非表示/違反報告)
月叶(プロフ) - ちょこぷりんさん» ありがとうございます!そう言っていただけて、書き手としてとても嬉しく思います。切ない作品大好きなのでまた次も楽しみにしていただけると幸いです。最後までお読み頂き、ありがとうございました!! (2020年8月4日 11時) (レス) id: 1352e210bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月叶 | 作成日時:2020年7月29日 13時