愛する人 ページ26
.
やけに開けにくい包装紙を無理矢理破り、中に入っていた薄茶の物体を手に取った。
見た目はクッキータイプの栄養食のようで、毒などは入っていなさそうだったので、俺は思い切って口の中に放り込んだ。
「う゛っ………！？」
あまりの不味さに身体が咄嗟に拒否反応を示し、吐き出してしまった。
砂の上に落ちていた他人の吐瀉物を食べているような、とにかく人間が食べていいような味ではなかった。
「……落ちたモノは拾わないで。あとで処理班にまとめて掃除してもらいます」
淡々と話すAは、表情一つ変えずに俺と同じであろうその
「お前、それ不味いとは思わねぇの？」
「私には味覚が分からないので、問題ないです。
食事は栄養を摂取する為にある行動ですので、味がどうとかは関係ありません」
「……そうかよ。てか、それが毎日の食事か？
他にレパートリーはねぇのかよ」
「咬合力の低下を防ぐ為に、週に一度少し硬めの
それ以外は基本コレのみです」
そう言ってAは、いつの間にか手に持っていたペットボトルを俺の前に差し出した。
軽く礼を言って受け取り、飲料水を一気に口の中に流し込む。
「……お前さ。親とかいねぇの？」
この前『親が危篤』って言って早退した同じ日の夜に、Aは路地裏にいた。
つまり、あれはウソだ。
じゃあ、Aの親は死んでいないのか？
Aの親はどこで何をしている？
「……どういう意味ですか」
「そのまんまだよ。あの時、親が危篤だって言ってたの、あれ違うんだろ？
じゃあどこにいんだよ、お前の親」
「知りません。私には関係ないので」
「あるだろ。普通、親は自分の子供の心配くらいすんだろ」
「でも、私の生活には必要ありませんので」
「そういう話じゃねぇんだよ！！」
こっちが必死になって話をしているのに対し、全く興味の無さそうな返答ばかりするAに、段々苛ついてくる。
なぁ、A。
何で俺が、わざわざお前の心配をしているか分かるか？
俺が、何でお前だけに必死になってるか分かってるか？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 395人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑞樹(プロフ) - この作品大好きです！ 更新を楽しみにしています！ (2022年12月8日 20時) (
レス) @page39 id: 92b8932be0 (このIDを非表示/違反報告)
フユフユ - これ最後夢主ちゃんとかも幸せになって欲しい (2022年6月26日 21時) (レス) @page29 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
むらかみ。(プロフ) - 新作待ってました！前作楽しませて読ませていただきました！！突然で申し訳ないですが、イメ画描かせてもらってもよろしいでしょうか？少し遅くなってしまうかもですが…(失礼)更新頑張ってください！！応援してます！！！！！ (2021年12月29日 20時) (レス) @page6 id: 49021efb12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきや(プロフ) - あのさん» ありがとうございます！！！頑張って更新進めていきま〜す！！！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: 3af9d9c4f9 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 新作ですね！前作では完結おめでとうございます！(遅い)更新待っております！ (2021年12月12日 18時) (レス) @page15 id: 347eae7089 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきや | 作成日時：2021年12月8日 19時
