蝉とけい‥みんなしわわせ。(ymxin)蝉シリーズ(５)

＝すりすり・２＝ ページ11

「えっ・・ジーさんが・・
　だ、大丈夫なのか＿＿＿＿？」


リョウは、静かに頷いて

また高い鼻を空に向けて

不安気に顔を伏せた。




「なぁ、リョウ・・
　飯は？・・ちゃんと食ってんのか？」


「ああ・・。
　隣のおばさんが面倒看てくれてる。」


「そっか・・なら、いいんだ。
　早く元気になるといいな。
　な、リョウッ。」


「ああ・・ありがとう。ねこ・・。」



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



オレは、祈った。


大きな体をギュッと小さくして丸まって

目を伏せたリョウを思って

オレは、祈った・・。




２人ッきりの暮らしだ。

リョウにはジーさんがすべて・・

ジーさんにもリョウがすべて＿＿＿＿＿。





オレは、毎夜毎夜、月に祈ったんだ。


肉球を、ギュッと合わせて

窓のトコから、小さな鼻を暗い空に向け

祈った。祈った。祈った。




早く、早く、早く・・

ジーさんが元気になって

リョウも、ジーさんも笑顔になって

また、１人と２匹で

縁側で楽しく、温かく・・過ごしたいって・・

オレ・・祈ったんだよ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。







お月様・・そりゃー・・ないよ。


どうして・・。どうし・て・・？



オレの祈りが足りなかった・・？

なぁ、頼むよ。お願いだ。

お願いだから・・

リョウを一人・・

置いて行かないでやってくれ・・。




どうして＿＿＿＿＿＿＿＿＿。





・・なぁ、リョウ。

ごめん、ごめんな。

何の力にもなれなくて・・オレ。



１人で寂しくて不安な時に

そばに居てやれなくて・・

ごめん。





____オレは、近所の野良猫の情報で

・・ジーさんが亡くなった事を知った。



＿＿＿＿＿＿＿＿＿っっ。




ごめん。ごめん。ごめん＿＿＿＿＿。




オレは心の中で何度も何度も

謝りながら、いつもの裏路地を抜け

急いで走って・・急いで急いで


急いで・・リョウの元へ＿＿＿＿＿＿＿＿＿。






「リョウ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。」




どんよりと重い曇り空の下

リョウは犬小屋の中に

この前よりも・・もっと、もっと

ぎゅぅぅっと丸まって寝ていた。



リョウは薄っすらと目を開け

ゆっくりとした動作で顔を上げ

「ぁぁ・・ねこか・・。」


「リョウ・・飯、ちゃんと
　食べないと・・ダメだろ・・。
　せっかく隣のおばさんが・・・。」


「ぁぁ・・。」


「そんな事してると・・
　倒れちゃうし・・な、リョウ。」


「・・ぁぁ＿＿＿。」

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