見つけましたよ ページ4
「大理石の如き白く柔らかな線。それでいて猫のような優美さと温もり……嗚呼、今日こそその手で私の頸を絞めてはくれないだろうか!」
「死ぬなら御一人でどうぞ。ツケは払ってくださいね?」
此処は、喫茶店「うずまき」。
ある者は紅茶を啜り、ある者は持ち込んだ菓子を食べ、またある者は女給に心中を迫る。
心身ともに癒してくれる、皆の憩いの場所だ。
女給が彼の手をやんわりと本人の膝に戻すと、入り口ののベルがけたたましく鳴った。
扉を激しく開いた人物は、先程まで女給を口説いていた人物に駆け寄り、こう叫んだ──
「見つけましたよ、太宰さん!」
声の主は、中島敦。
この店の上に事務所を構える武装探偵社の、新人社員だ。
「店員さん、何時もすみません」
「いえいえ、お仕事頑張ってくださいねー」
「一寸、酷いんじゃないのかい敦君?私まだ紅茶を飲みきっていないのだよ?」
「でしたら仕事中に抜け出すのは止めてください……国木田さんに怒られますよ?僕が」
店を出て、階段を上った先に見えるのは「武装探偵社」のプレート。
その扉の向こうで、何時もと変わらない日常が繰り広げられている。
そう──何時もと変わらない日常。
その筈だった。
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作者名:夕野きする | 作者ホームページ:http://http://commu.nosv.org/p/asubook/
作成日時:2019年2月23日 15時