またね、ミルク。【あべさく_*】 ページ28
阿部
夜、11:30。
疲れた体をソファーに投げ打って、
その時間を待つ。いつもだったら
待ち遠しくて仕方ない時間なのに、
今日ばかりは来ないで欲しいなんて
思っちゃって。
大丈夫、大丈夫。
自分に何度も言い聞かせる。
大丈夫、信じてれば大丈夫だからって。
香水の小瓶を片手で弄びながら
ぼーっと見つめていたスマホの時計、
下二桁が29から30に変わった。
俺は一回息を吸って、吐いて、
香水を手首に振りかけた。
変わらない、ミルクの匂いがふわり。
大介をそばに感じるような気がする。
早く会いたくなって、俺はいつもの
空っぽのチャットから電話をかけた。
コールは一回も鳴らず途切れる。
俺と同じように、11:30を待ってたのかな？
そう予想すると、愛しさに頬が緩む。
佐『もしもし！』
阿「もしもーし。」
少しの沈黙。そして二人同時に笑い出す。
心臓は固まったように、上手く機能してない。
佐『なんで亮ちゃん緊張してんの？』
阿「大介こそ。」
それを誤魔化すように笑い合う。
上手く笑えてないのは、重々承知だ。
阿「明日卒業式だよ。」
佐『知ってるよ。』
明日は、特別な日。正直、例年よりも特別だ。
自分が担任持ってる学年だからっていうのも、
自分が入学当時から三年間見続けて来た
学年だからっていうのもあるけど、
それだけじゃない。って思っちゃうのも、
本当はいけないんだけどね。教師失格かな。
佐『もう授業してる亮ちゃん
見れないのかー...。』
阿「ふふっ、思い出話でもしようよ。」
佐『いいよ。』
出会いは...、と思い返す。
そんな時間も幸せだけど、
それが一つ目の終わりに近づいてる証拠だと
思うと。...やめよ、やめよ。
阿「覚えてる？追試でさ。」
佐『覚えてるよ。』
阿「最後大介だけ残って。」
なかなか合格点に届かなかった大介と、
追試っていいながら補習やってたのが
最初の二人だけの時間だったのかな。
佐『やっと合格点に届いたとき、
亮ちゃんが連絡先くれた。
俺、今でもあの付箋取ってあるよ。』
阿「嘘！」
佐『ほんと、ほんと。
もちろんバレないように、
鍵かけた引き出しの中に貼ってあるけど。
俺らが、最初に先生と生徒の関係を越した日の
思い出の品だもん。』
えへへ、なんて
自分で言って自分で照れる大介は
相も変わらずズルいんだ。
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ほんちゃ(プロフ) - あこさん» “糖度激甘”になっているか自信はございませんが...、お楽しみ頂けることを祈っております。「Puppy」というお話でございます。(^-^) (2020年9月14日 7時) (
レス) id: 57b7bcd659 (このIDを非表示/違反報告)
ほんちゃ(プロフ) - あこさん» リクエストありがとうございます！お応えが遅くなってしまい、申し訳ございません...。頂いたリクエストですが、『夢雪【Snow Man短編集】�掘戮諒�でお応えさせて頂きました。そちらの方でご覧頂けると幸いです。 (2020年9月14日 7時) (レス) id: 57b7bcd659 (このIDを非表示/違反報告)
柿ちゃん(プロフ) - リクエストお願いします！あべさくで佐久間くんが電車でセクハラを受けていてずっと黙っていたのですがあべちゃんが気づいて助けるお話お願いできますか？お願いします！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 2656a3babb (このIDを非表示/違反報告)
しゃけちゃん(プロフ) - やっぱり大好きです……。ほんちゃさんの使う言葉がとても綺麗で大好きで、読む度にこっちまで胸が苦しくて涙が出てきます…。ぜひ2年後2人が幸せそうに並んでいるお話も見てみたいです！！リクエストゆっくりで大丈夫です！次更新も楽しみにしています。 (2020年5月19日 23時) (レス) id: e1e18d5b19 (このIDを非表示/違反報告)
あいあい(プロフ) - 初めまして。いつも楽しみに拝読しています。本日の_*に思わず涙が溢れてしまいました。お互いが1番だからこそ守り合う2人が健気で（泣）2人の未来（続き）楽しみにしてます。もちろん他の作品も！お忙しいと思いますが頑張ってください。更新楽しみにしてます。 (2020年5月19日 13時) (レス) id: 91a4fb01f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほんちゃ
| 作成日時：2020年5月11日 8時
