世界の終わりで (ページ22)

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「じゃあ、色々バタバタしてて遅くなったけど、これ」
「ほんとに作ってくれてたの？」
「もう、恥ずかしいから早く食べてよ！」
「ありがたく頂戴する！」

そう、俺は数日遅れのバレンタインを彼に渡した。好きな人に渡すチョコレートのことを考えるのは幸せだった。YouTubeで『バレンタイン本命』なんて調べて、後でその履歴を見て少し照れくさくなる、の繰り返しだった

「美味しい！福良さんいつの間に料理の腕を上げたんですか」
「いやー、でもね、結構頑張ったよ」
「僕のために？」
「決まってるでしょ、言わせないでよ」
「やだよ、僕福良の口から聞きたいもん」
「わかったわかった、俺が、河村のために頑張りました。喜んでくれると俺が嬉しい！」

彼は上機嫌でチョコレートを頬張った。生チョコが彼の体温で溶けてとろ、と口から溢れそうになる

「あ、口元やばいかも。ちょっと待って」
「ん？」

ちゅ、という音と同時に甘いチョコレートの味が口に広がる

「福良さん顔真っ赤」
「うるさいなあ、唐突すぎるんだよ」
「チョコレート取れました？」
「取れたけど！思ってたのと違う！」

彼は可愛い可愛い、と俺の頭をポンポン、として続きを食べ始めた。俺はキッチンで珈琲を淹れるために2人分のマグカップを手にした。ふと薬指の指輪に目がとまる。マグカップから始まり、お揃いが増えた。明日はなにかまたおそろいを買いに行こう、と思った