皇帝の裏側 Part２【あんスタ】 (ページ45)

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怪盗、一難去ってまた一難。の巻ページ45

天祥院Aside

なずな「さあ！今回のドリフェスのエンディングを飾るのは、今宵限りの復活を果たしたphantomのリーダー！天祥院Aだ！」

なずなの元気な声が会場に響く。
会場にいる観客の熱気は最高潮に達している。

なずな「……それじゃあ、A、よろしく頼むりょ！」

「また噛んだ！」なんて言っているなずなの横を通り過ぎ、僕は舞台の中央に向かった。
最初の曲のイントロはもう、鳴っている。

僕が歌い始めれば、観客は音楽に合わせて、サイリウムを振る。

何とも言い難い、きれいな景色だ。

『…お願い、僕を見て…？』

曲に合わせた、セリフを。

黄色い歓声に包まれるライブ会場。

ヒートアップする僕への歓声。

あぁ、なんて気持ちがいいのだろう。

『フフッ、奪っちゃおうか？君たちのその笑顔！』

「「奪ってー！！」」

『おやおや…そんなことを言ってしまう悪い子には、僕からのお仕置きが必要だね？』

そんなことを言って、今度は過激な曲を歌う。

最前席にいるKnigtsに向かって、投げキッス。

嵐は、女子顔負けに顔を真っ赤にして、黄色い声を上げた。

こんなことをされるとは予期していなかった、司と泉は、耳まで顔を真っ赤に染めていた。

レオと凛月は、僕に向かって、投げキッスをし返していた。

『あぁ、こんなにも楽しいライブはいつぶりだろう…！』

心から、楽しんでいた。
周りなんて、見えていなかった。

それが、仇となったんだ。

僕は、夏目からの「上を見テ！姉さん！！」という声を聞き取ることができなかった。

自分の頭上に、気を付けることができなかった。

次の瞬間。

ガシャンッ！！

という音ともに、僕の目の前は、再び、闇に帰った。

『……え…？』

最後に見たのは、会場の一番奥でほくそ笑む、水無月舞の姿だった。