春の訪れ〜�� ページ49
【春の訪れ】
小角は立ち上がり刀剣男士たちを見回した。
「当本丸14代目審神者を務めることとなった役小角(えんのおづの)と申す。慎んでご挨拶申し上げる」
「同じく、審神者補佐の棗と申します。以後お見知りおきを」
「それで、さっそくだけど――」
小角は穏やかな表情で語り始めた。
「みな気付いてると思うが、我らは人ではない。これでも神に属する身の上だ」
その口許に艶のある笑みを浮かべている。
「私に【神隠し】は通用しないよ。これまでのように『殺そう』だとか『隠そう』だなんて、まぁ思わないことだ」
「「………」」
物腰は柔らかいが、なんとも言えないその迫力に刀剣たちは押し黙る。
「審神者の務めを疎かにするつもりはないが、私もなかなか多忙でねぇ。本丸の運営をより良くするため一つ提案があるんだが、聞いてもらえるかな？」
「「……？」」
「私の弟子に審神者の力の一部を与え『仮の審神者』として補佐を務めてもらう。つまり、審神者業の分担だね」
男士たちは突然の提案に驚いている。
「――棗」
「ここに」
青年は恭(うやうや)しく頭を下げた。
「君には内番や負傷時の手入れなど本丸内部の管理を任せたい」
「承知しました」
小角は満足気に頷くとふと窓の外を眺めた。
「政府との交渉事は全て私が引き受ける。政府には人でない者を快く思わない連中がいるようだけど、私相手では簡単に文句も言わないだろう」
男士たちの脳裏に前の主人がよぎった。
『鬼神』であることを恐れた政府の人間たちに体よく追いやられた【白の審神者】。
あのようなことはもうないと、小角は男士たちを安心させようとしているのだ。
「さて、あとは出陣のことだけど…」
そう言って、小角は障子に手を掛けた。
「私にはもう一人自慢の弟子がいてね。剣を持たせたらあの子の右に出る者はいない。出陣や任務等の戦闘に関することは全て彼女に任せようと思う――――さぁ、紹介しよう」
「「………？」」
障子が開けられゆっくりと庭が見え始める。
そこには――…。
「――わぁ！」
歓声が湧き上がった。
先程までつぼみだったはずの桜が満開となっていた。
風で舞い散る花びらが、一層美しい光景を作った。
「…あれ？」
桜吹雪の中、庭の片隅にひとりたたずむ人影があった。
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コトナガ(プロフ) - 名無しくんさん» お読み頂きまして本当にありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いします！ (2020年8月9日 10時) (
レス) id: 14cecc8eec (このIDを非表示/違反報告)
名無しくん(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初の方からずっと楽しませていただきました！とても素敵な終わり方でとても面白かったです！続編も楽しみにしています！ (2020年8月8日 21時) (レス) id: 330cc05ab0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - コトナガさん» 完結おめでとうございます！！ 最後の最後で夢主との再会してくれた！！鶴丸さん、かしゅう良かったね 続編も楽しみに待ってます！ (2020年8月7日 16時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
コトナガ(プロフ) - 鈴桜さん» 先日はコメントありがとうございました。おかげさまで最終話を迎えました。また続編を作ったときは読んで頂けると嬉しいです。それでは失礼いたします。 (2020年8月7日 10時) (レス) id: 14cecc8eec (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - まさかの夢主の師匠と兄弟子がぁ！！ 続きどんな事になるんだ！！ そして、夢主はどうしてるのか気になります (2020年7月31日 8時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コトナガ | 作成日時：2020年2月2日 1時
