春の訪れ〜�� ページ47
【春の訪れ】
三日月と一期に案内され、一行は大広間へ続く廊下を進んでいた。
その間、審神者の男性と付き添いの青年は本丸の中を物珍しそうに眺めている。
まるで友人の家を訪ねて来たかのような雰囲気をかもし出す二人。
そこに警戒心は皆無だった。
「三日月さん、と呼んでもいいですか？」
青年は隣を歩いていた三日月に声をかけた。
「ここに【加州清光】さんという刀はいますか？先代審神者の近侍だったと思うのですが」
突然出た名前に、三日月は首を傾げる。
「加州なら執務室にいるが…。加州が何か？」
「挨拶をしたかったのですが、元気にしていますか？」
青年は人の良い笑みを浮かべた。
「？」
その言葉に三日月は更に首を傾げる。
まるで加州と知り合いかのような口振りだが、こんな知人がいるなんて聞いたこともない。
「……」
【黒の本丸】を怖がらない。
警戒心も持ち合わせていない。
ついでに加州を知っているかのような態度。
多くの謎を持つ二人の男性を連れて、一行は大広間に向かうのだった。
――――
「清光、いる？」
大和守安定は執務室の加州を訪ねていた。
「あれ…安定？どうしたの？」
山積みの書類の間から加州がひょっこり顔を出した。
「もう、どうしたのじゃないよ。まだこんなとこにいたの？さっき新しい審神者が到着したんだ。清光も早く広間に行かなきゃダメだろ」
「うーん…そーね」
加州は浮かない表情を浮かべ、書類をペロリとめくった。
その煮え切らない態度に大和守はやれやれと頭を振る。
「あのさぁ清光、気持ちはわかるけど、ここにいたって何にもならないでしょ」
「…なんのこと？」
「おまえ、前の主が忘れられないからってささやかな抵抗してるんだろ？」
「……」
次の審神者が決まったのは半月前のことだった。
A以外の主人は要らないと刀剣たちは主張したがその意見は通らず、総帥・明里(あけさと)に説得され、しぶしぶ新たな審神者を迎えることになったのだ。
「…俺はあの人しか主とは認めない」
加州は最後まで頑なに拒み続けている。
「僕だって前の主が大好きだけど、どうしようもないじゃん…ほら、行くよ！」
大和守は加州の腕を掴み「あっ」と声をあげた。
「そう言えば清光。新しい審神者のことなんだけど、あれっておまえの知り合いなんじゃないの？」
「は？」
加州は眉を潜めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
コトナガ(プロフ) - 名無しくんさん» お読み頂きまして本当にありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いします！ (2020年8月9日 10時) (
レス) id: 14cecc8eec (このIDを非表示/違反報告)
名無しくん(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初の方からずっと楽しませていただきました！とても素敵な終わり方でとても面白かったです！続編も楽しみにしています！ (2020年8月8日 21時) (レス) id: 330cc05ab0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - コトナガさん» 完結おめでとうございます！！ 最後の最後で夢主との再会してくれた！！鶴丸さん、かしゅう良かったね 続編も楽しみに待ってます！ (2020年8月7日 16時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
コトナガ(プロフ) - 鈴桜さん» 先日はコメントありがとうございました。おかげさまで最終話を迎えました。また続編を作ったときは読んで頂けると嬉しいです。それでは失礼いたします。 (2020年8月7日 10時) (レス) id: 14cecc8eec (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - まさかの夢主の師匠と兄弟子がぁ！！ 続きどんな事になるんだ！！ そして、夢主はどうしてるのか気になります (2020年7月31日 8時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：コトナガ | 作成日時：2020年2月2日 1時
