収束〜�� ページ25
【収束】
キィン！！！
雛野の叫び声がかき消えた。
かわりに訪れたのはギリギリと合わさる刃の音。
「…ちっ、なんで止める？主」
「それくらいにして下さい。やりすぎは禁物と言ったではありませんか」
「もとはと言えばうちの本丸から出た問題だ。道を外れた主人ならオレたちが片を付けるのは当然じゃねぇのか」
「だからと言って命を奪うのは違います。刀を納めて下さい」
「だけど主さん僕たちは…」
「和泉守兼定、堀川国広」
「……」
「……」
二人は渋々刀を納めた。
Aはガタガタと震える雛野の前に膝をついた。
「大丈夫ですか雛野さま」
「…ぁ、ひっ。か、加州くん…。お願い加州くんを、返して…っ」
彼女の執念は大したものだ。
Aは仕方なく【加州清光】を差し出した。
「加州くん…！」
涙に濡れた顔をほころばせ雛野は手を伸ばした。
しかし、
――――バチっ！！！
雛野の手に触れる前に【加州清光】から光が放たれた。
それは刀自身が触れられるのを拒んだようにも見えた。
「……え？」
雛野は呆然と刀を見つめる。
もう一度試みても結果は同じだった。
「どうして…？」
「清光が拒んでいるんです」
雛野は目を見開いた。
「先ほど私は、『雛野さまはこの刀に触れられない』と言いました。それはこういう意味です」
Aは何の問題もなく【加州清光】を扱えている。
しかし雛野は触れることすら出来ない。
「人の身体と自我を持つ。それが刀剣男士です。彼らとの絆が消え去った者はもうもとには戻れません」
「……」
「それを断ち切ってしまったのは、あなたの方です」
「だってわたしは…みんなが大切で…本当に大好きで、愛してあげたかっただけなのに…」
「執着と愛情は違います。彼らに向ける感情の加減と采配を間違えてはならなかったんです」
「わからないわ！だってわたしは何も悪くないもの…」
「……。それがわからなければ、雛野さまはいつまでたってもワガママな餓鬼(がき)のままです」
「………」
Aは立ち上がり和泉守と堀川に笑いかけた。
「さて、帰りましょうか」
「いいんですかこのままで？」
「目的は果たされました。あとは明里さまと政府の方々にお任せしましょう」
政府の職員たちがこちらに向かってくるのが見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
コトナガ(プロフ) - 名無しくんさん» お読み頂きまして本当にありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いします！ (2020年8月9日 10時) (
レス) id: 14cecc8eec (このIDを非表示/違反報告)
名無しくん(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初の方からずっと楽しませていただきました！とても素敵な終わり方でとても面白かったです！続編も楽しみにしています！ (2020年8月8日 21時) (レス) id: 330cc05ab0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - コトナガさん» 完結おめでとうございます！！ 最後の最後で夢主との再会してくれた！！鶴丸さん、かしゅう良かったね 続編も楽しみに待ってます！ (2020年8月7日 16時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
コトナガ(プロフ) - 鈴桜さん» 先日はコメントありがとうございました。おかげさまで最終話を迎えました。また続編を作ったときは読んで頂けると嬉しいです。それでは失礼いたします。 (2020年8月7日 10時) (レス) id: 14cecc8eec (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - まさかの夢主の師匠と兄弟子がぁ！！ 続きどんな事になるんだ！！ そして、夢主はどうしてるのか気になります (2020年7月31日 8時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：コトナガ | 作成日時：2020年2月2日 1時
