Voyage (ページ14)

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電車が走り出してから少しした頃。

服の裾が引っ張られる感覚。

潤「ん、？」

和「…潤くん。」

潤「どした？」

うるさい車内では小さな和の声は聞き取りづらい。

和の口元に耳を近づける。

和「おれ…。」

潤「うん」

和「おれ。…やっぱりだめかも…、、。」

そう言ってふらっと倒れそうになる。

潤「かずっ、、！！！」

そのまま二人でその場に座り込んだ。

急に大きな声を出してしまったからか、周りの視線が一瞬にして集まる。

でも、今はそんなことどうでもよかった。

潤「和？大丈夫、大丈夫。な？」

そう言って小さく蹲ってしまった和の背中をさすってあげる。

覗き込んだ顔は真っ白で。

やっぱり和のトラウマは治ってなかったんだと実感する。

もうこの時点で今日の出勤は無理な気がしてきた。

、、、というか、行かせられるはずもなかった。

近くのお兄さんが俺たちを見て席を空けてくれる。

ありがたいけれど、今はこの状態で少し落ち着かせた方がいいのかもしれない。

潤「次で降りような。大丈夫だから」

ぐらぐらと不安定な和の背中を支えて落ち着かせる。

駅に着くと、和の体を支えながら電車を降りた。

近くのベンチを探して並んで座る。

和は自分で姿勢を保つことで精一杯な感じで、見ていてハラハラする。

そんな和をガッチリと支えて、

反対の手で器用にスマホを取り出した。

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