おい、歯ブラシ忘れてんぞ。【松田陣平】

Toothbrush｜８ ページ9

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『そもそも触れたり食べたり出来るって何！？幽霊としてあるまじき行為なんじゃないの！？もっと自覚持ちなさいよ』


「お前はいつからそんなうるさくなったんだ？生前は『松田愛してる』なんて言って可愛げあったのに」


『勝手に捏造すんな！！！』



一言も言ってないわ。幽霊になって記憶がバグってんじゃないの




「Aは素直じゃねーな。本当はまだ忘れられねーんだろ？俺の事」


『こっの...自意識天パ！！！ちょっと顔が良いからって調子乗るなよ！！？』



怒りのキャパがオーバーして思わず掴みかかるところを逆に手首を捉えられた





「じゃ、試してみるか」


『え、ぁ。何を...』




気付けば体は半回転


目の前に見えるは松田の顔とバックに天井


謎の浮遊感




＿＿生きてる人間が死んでる人間に抱えられるという不思議な構図が出来上がった




私を抱えたまま歩き出す松田



『ちょっ、っと！！何処連れて、』


「暴れると落ちるぞ」



自力で脱け出そうと試みるものの効果無し。しっかり抱え直されるぐらいだ



松田がある一室で立ち止まりドアノブを押す




＿＿暗がりでも何処かぐらいは分かった。ここは...



『ま、松田。』


「何？」





ゆっくりとベットの上に下ろされる


松田が寝室の明かりを点けた





挙動不振かってぐらい目を忙しく彷徨かせる私に対し、松田は小さく笑みを溢す




「A」



『な、に＿＿』




気付けば彼の顔が寸止め直前にあって


目を見開いた時には互いの唇が重なっていた


驚く暇も無いままに少し開いた唇に割って入ろうとする舌


羞恥のあまり松田の肩を押して距離を取る




『な、なん＿＿調子に、乗らなっ、』


「噛んでんぞ」



長い指が口元に添えて笑う奴。余裕だからってくそ腹立つ


けれど自身の顔は鏡を見なくてもきっと真っ赤で。多分私のそんな姿すら思惑通りなのだろう




『っ、触れるの。禁止』


「は？」


『〜〜だから！！触れるの禁止！！透けて当然なのを感覚があると思うだけマシでしょ！』


「じゃ触れていいじゃねーか」


『だからアンタは調子に乗るのよ！！』




ギャーギャーベットの上での喧嘩はカンスト済み


果たして今回のも含まれるのか

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