Toothbrush|47 ページ48
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『自らの命と引き換えに1200万人の命を救った松田は死後警察官の鏡だと称され金字塔が打ち建てられた
__捜査一課は抗議を入れた。“彼の死をこんな形で飾るな”と』
それでも聞く耳持たない上層部は舞文曲筆なまでに話を盛らせ、膨れ上げていた
「...Aの本音を聴かせてくれ」
塩らしく、すがるような表情と声
『...本当は行って欲しくない。でも一緒に連れて行ってって、行かないでって、言われる方は残酷よね...』
__彼の死を認めていなかったのは私。
戻ってこいと腕を引かれたあの時、意地にならず素直に彼を抱き締めれば良かったのだ
気付いた時には全てが手遅れで
『ごめ、なさ...ごめんなさぃ、松田...!!』
涙腺が決壊した
肩を震わせ嗚咽する
「っA、」
大きな体に包まれる。彼から鼻をすする音が聴こえた。__泣いているのかもしれないと思うと涙が溢れて止まらない
松田も私も互いに誤り続けた
戻らないあの時を、思い出を、時間を。全てに懺悔して
「...っは、泣き顔ブサイク...」
『松田に言われたくない...』
おでこをくっつけ笑い合う。涙の跡が痛々しい
松田がゆっくりと私の服に手をかけた
「...優しく出来ねぇと思うけど」
『__優しくないなんて嘘。困らせたかっただけなの』
「何だそれ...殺し文句かよ」
どちらから途もなく唇を押し付け、その場に倒れ込んだ
**
「体痛くないか?」
『ん、平気』
ベッドシーツの上で互いの素肌が触れ合う
心配する松田を余所にクスリと微笑んで見せた
『ね、松田。...何で死んじゃったのよ』
「__ごめん」
__好きの言葉一つでさえ言われた試しが無いが、そんな安売りせずとも態度で示してくれた
馬鹿正直で、気休めにも嘘がつけない、誤魔化す事さえ出来ない彼の誠実さと人一倍優しく人情に熱いところが好きなのだ
同じ屋根の下、歯ブラシを並べる生活はもうやって来ない
「なぁ、俺が何であの時歯ブラシを理由に引き止めたか分かる?」
『それは...分かんない』
「__歯ブラシを理由に、より戻したい言い訳にもなるし、仲互いを納める意味にもなるって事」
彼の言い分に、あぁ私には勿体無いぐらいの素敵な人だと。この瞬間が人生で一番幸せだった
「__A。愛してる」
『私も。__愛してる、陣平』
そう言って、彼の腕の中で安心しながら__私は瞼を静かに閉じるのよ
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ふぐひらめ(プロフ) - 自分の目が土偶のように腫れあがってしまいました。松田も西城ちゃんも悪くないんだよなぁ、でも報われねぇんだよなぁ…。もし余裕が出来ましたら、この二人の普通にイチャコラしてる話が読みたいです!生前の、になるのか別世界パロになるのかはお任せします。 (10月9日 11時) (レス) @page50 id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
輪廻(プロフ) - 大変面白く、続きが気になってしまって一日で読破してしまいました…何処を探しても、こんなに泣いて考えさせられた小説はありません…!素晴らしい作品を、本当に有難う御座います! (9月30日 9時) (レス) @page50 id: 6cfce3c49c (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 何度見ても涙が止まらないです。本当に、なんで死んでしまったのでしょうかね (2023年5月7日 14時) (レス) id: 86ac079c04 (このIDを非表示/違反報告)
kaki - こんばんは。何度も何度も読んでも涙が止まらないです、、涙が枯れるかと心配になるほど、出てきます。素敵なお話をありがとうございました。 (2023年5月6日 23時) (レス) id: 9254c6c927 (このIDを非表示/違反報告)
ミートボール(プロフ) - こんばんは。初めて小説を読んで声が出るくらい泣きました。とても読み応えがあって、「何度でも読みたい」と思う物語でした、、!たくさん小説がある中でこの小説に出会えて本当に良かったと思いました。素敵な作品を描いてくださって本当にありがとうございました。 (2023年3月21日 0時) (レス) @page50 id: abe3749231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年8月12日 2時