Toothbrush｜４６ ページ47
・
『＿＿松田！！居るんでしょ、何処なの！？』
家に帰るや否や怒気を含ませ室内を駆け巡る
「ここだ」
声がした方へ向かえば案外リビングに居た。盲目になり過ぎていたかもしれない
面を会わせるなり早々松田は冷淡な眼差しを寄越してきた
「良かったな」
『は？』
「＿＿降谷と上手くいったんだろ？アイツなら安心だし...俺もそろそろ出払い時かな」
喉を鳴らして笑うテノールは何処か冷めている
奴の態度に堪忍袋の緒が切れ、彼の元へズンズン大股で近付き胸ぐらを掴んだ
『何よ、それ。＿＿勝手に決めつけないで。自己簡潔しないで！！』
怒鳴り散らして息の上がる肩を尻目に掴んでいた手を離した
『断ったの』
「あ、？」
＿＿『私は降谷の気持ちに応えられない』
＿＿「...やっぱり、未だ想い続けてるのか。松田を」
＿＿『...これから先、一生だって＿＿後にも先にも、私が好きなのはアイツだけなのよ』
『馬鹿かよって、自分。無論アンタは死んだ。降谷にも急に呼び出して悪い事したと思ってる。そんなの理解してる、なのに＿＿諦めきれないのよ』
震える声音を必死に押し込み小さく吐息する
「...ほんとバカだな」
答えた松田も憂いを帯びていた
**
人気の無い路地裏で、無意識に言葉が漏れた
『アンタが死ねば良かったのに』
頭の中で子供の声がして警察官を殺せと命令されただの、ウルフェイスになりたかっただの自分の病院を建てたかっただので連々乞いを並べる爆弾魔に
＿＿何でこんな奴がのうのうと生きているんだろう
何故萩原と松田は死ななければならなかったのだろう
そう思うと悲しいやら怒りやら言葉にし切れない感情が爆発し、気付けば犯人に銃弾を放っていた
「西條刑事！！」
「A止めて！！！」
美和子やコナン君、高木君の必死の制御で犯人の体に傷がつく事は無かった
＿＿そうか、松田はもうここに居ないのか
彼が消えて3年。ようやく彼の死に直面した
それがつい先月の事
**
『分かってるのよ。アンタが転属の希望を出したのも萩原の仇打ちだって』
所々浮き彫りとなった点同士を繋げば一本の線となり明確になる
『いくら犯人と言えど生身の人間。警察官である以上私情は挟まない。なのに私は警察官失格よ』
「そんな事無い。撃たなかったそれは、お前に良心的な心が残ってたんだ」
影を落とす
それは帷の訪れだった
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ふぐひらめ(プロフ) - 自分の目が土偶のように腫れあがってしまいました。松田も西城ちゃんも悪くないんだよなぁ、でも報われねぇんだよなぁ…。もし余裕が出来ましたら、この二人の普通にイチャコラしてる話が読みたいです！生前の、になるのか別世界パロになるのかはお任せします。 (10月9日 11時) (
レス) @page50 id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
輪廻(プロフ) - 大変面白く、続きが気になってしまって一日で読破してしまいました…何処を探しても、こんなに泣いて考えさせられた小説はありません…！素晴らしい作品を、本当に有難う御座います！ (9月30日 9時) (レス) @page50 id: 6cfce3c49c (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 何度見ても涙が止まらないです。本当に、なんで死んでしまったのでしょうかね (2023年5月7日 14時) (レス) id: 86ac079c04 (このIDを非表示/違反報告)
kaki - こんばんは。何度も何度も読んでも涙が止まらないです、、涙が枯れるかと心配になるほど、出てきます。素敵なお話をありがとうございました。 (2023年5月6日 23時) (レス) id: 9254c6c927 (このIDを非表示/違反報告)
ミートボール(プロフ) - こんばんは。初めて小説を読んで声が出るくらい泣きました。とても読み応えがあって、「何度でも読みたい」と思う物語でした、、！たくさん小説がある中でこの小説に出会えて本当に良かったと思いました。素敵な作品を描いてくださって本当にありがとうございました。 (2023年3月21日 0時) (レス) @page50 id: abe3749231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リンドウ | 作成日時：2019年8月12日 2時
