Toothbrush|45 ページ46
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私が愛していたのは生きている姿(実像)で、果たして死んだ後の姿(虚像)に何を求めているのか。幻影にこれ程までに駆り立てられる想いは異質なのか
「Aは間違ってないよ」
ネガティブに向かう私の心情を汲んだのか、降谷はすかさず声を入れた
「僕らが警察官になるあの日。互いに誓ったのは同床異夢なんかではなく、4人の死を仕方無いで割り切れる程淡白な関係を築き上げたつもりはない」
いつまでも悲観に浸れない。そう思い詰めていたからこそ降谷の想いに救われる
『ありがとう降谷。__私、帰らなきゃ』
伝えたい事、言いたい事が山程あるのだ。いつまでもうだうだしてられない
ベンチから立ち上がると晴れやかな気持ちでいっぱいだった
__その瞬間、刹那であった
「__A、」
何処から途もなく低音が直接耳に語り響く
...こんな真冬なのに、シャツ一枚とは如何なものか。はたまた幽霊だから気候云々は全部無視なのか
最後の最後まで分からなかったが、その声へと振り返れば息を切らした“彼”がいた
『松田__』
会いたくて仕方無くて
手を伸ばせば届きそうなのに
...アンタは死んでるのよね、松田
彼も私もその足を踏み出し距離を縮めた__
「っ、A」
『...降谷__?』
掴まれた手首
引かれた腕
松田までの歩みを止める
降谷はここに来てから見せる事のなかった険相を浮かべ、極当たり前の、私にとっては衝撃の言葉を口にした
「...松田はもう、ここに居ないじゃないか」
息の根を掴まれた衝動だった
無論彼には松田(幽霊)の姿は見える筈も無いから至極当然ではあるのだが__
『な、んで。見えないのよ。__松田が、そこに居るじゃない。どうして』
どうして誰も見えないのよ。松田を否定するのよ
「もういいんだ」
背中に回る腕
首もとにかかるサラサラの髪質
__気付けば降谷の腕の中にいた
「失う事を恐れて、大切なものを作らないのはもう辞めないか」
『降谷、何__』
「...好きだよ」
『...え?』
揺れ動く瞳孔に息の仕方を忘れる始末。永遠にも感じられた
『_っ、何で?私達、全然そんなんじゃ__』
「それは。...言える筈無いだろう。松田もAを好きで__Aだって松田の事が好きだったんだから」
現実の淵
...我に返った時にはもう、松田の姿は無かった
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ふぐひらめ(プロフ) - 自分の目が土偶のように腫れあがってしまいました。松田も西城ちゃんも悪くないんだよなぁ、でも報われねぇんだよなぁ…。もし余裕が出来ましたら、この二人の普通にイチャコラしてる話が読みたいです!生前の、になるのか別世界パロになるのかはお任せします。 (10月9日 11時) (レス) @page50 id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
輪廻(プロフ) - 大変面白く、続きが気になってしまって一日で読破してしまいました…何処を探しても、こんなに泣いて考えさせられた小説はありません…!素晴らしい作品を、本当に有難う御座います! (9月30日 9時) (レス) @page50 id: 6cfce3c49c (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 何度見ても涙が止まらないです。本当に、なんで死んでしまったのでしょうかね (2023年5月7日 14時) (レス) id: 86ac079c04 (このIDを非表示/違反報告)
kaki - こんばんは。何度も何度も読んでも涙が止まらないです、、涙が枯れるかと心配になるほど、出てきます。素敵なお話をありがとうございました。 (2023年5月6日 23時) (レス) id: 9254c6c927 (このIDを非表示/違反報告)
ミートボール(プロフ) - こんばんは。初めて小説を読んで声が出るくらい泣きました。とても読み応えがあって、「何度でも読みたい」と思う物語でした、、!たくさん小説がある中でこの小説に出会えて本当に良かったと思いました。素敵な作品を描いてくださって本当にありがとうございました。 (2023年3月21日 0時) (レス) @page50 id: abe3749231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年8月12日 2時