Toothbrush|32 ページ33
・
__私達は、警察学校の同期だった
『降谷、料理教えて』
「え?」
降谷の寮室に入るなり唐突に申し出た
『料理まで出来るようになればきっと松田から馬鹿にされる事なんて無くなる筈。最高に美味しい料理を振る舞ってぎゃふんと言わせてやるのよ』
対抗心に燃えた目付きで料理上手の降谷にせがめば、彼は一瞬視線を逸らしたあと直ぐ様戻してきた
「それってさ、」
『うん?』
「__松田の事、好きだろ」
『...っは、?』
ポカンと間抜けな顔を浮かべつつ降谷の言葉を脳内再生で理解に追い付こうとすれば、彼の背後からニヤけた萩原に続き、景光と伊達まで登場した
「へーぇ、あの高嶺の花のAちゃんが松田をねぇ、」
「まぁ、その。煙草の吸いすぎで健康面が心配だが...アイツは良い奴だよ。なぁ?伊達」
「そうだな景光。俺もそう思うぞ」
『...私が松田を好き?とんだジョークね。素人が明日地球滅亡説を論するぐらいあり得ないわ』
「風当たり強くないか」
『降谷が言い出しっぺでしょ』
__でもさぁ、と接続する萩原は何故かこちらを微笑ましそうに目を細めた
『爆弾解体術も、射撃も武術も勉強、料理も。__全部松田の為でしょ?」
『__へっ、』
萩原の私の行動を示唆する発言に、そこには全て松田がいたのだと思い知らされると意識とは反対に赤くなる顔
その時丁度のタイミングで降谷に借りていた本を返しに来た松田の登場に思わず彼に殴りかかる私と、訳も分からず理不尽に殴られかかる松田の図が出来たのは良い思い出だ
ーー
『う、そ。本当に、降谷...?』
灰色の墓石が聳え立つこの場所で
__警察学校の頃から全くと言っていい程変化の無い童顔な彼を前に佇んだ
「久しぶり、A」
笑うと余計に下がる柔らかい目尻
青空に同化しそうな碧眼
サラサラとハニー色がなびく金髪
__降谷、だ
『久しぶり。...まさかこんな所で会うなんて』
周りに誰も居ないこの霊園で
反芻するのは二人の声のみ
__そして“もう一人”の、
私のみに聞こえる声がその口を耳元に寄せてきた
「__久しぶりの面会わせなんだろ。積もる話もあんだろーし、俺は車に戻っとく」
まるで私達のさっきの台詞を入れ替えた告げに、アンタもここに居ればいいのにと内心思いつつも
...片手を挙げて背を向けた松田に、小さく手を挙げ返した
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ふぐひらめ(プロフ) - 自分の目が土偶のように腫れあがってしまいました。松田も西城ちゃんも悪くないんだよなぁ、でも報われねぇんだよなぁ…。もし余裕が出来ましたら、この二人の普通にイチャコラしてる話が読みたいです!生前の、になるのか別世界パロになるのかはお任せします。 (10月9日 11時) (レス) @page50 id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
輪廻(プロフ) - 大変面白く、続きが気になってしまって一日で読破してしまいました…何処を探しても、こんなに泣いて考えさせられた小説はありません…!素晴らしい作品を、本当に有難う御座います! (9月30日 9時) (レス) @page50 id: 6cfce3c49c (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 何度見ても涙が止まらないです。本当に、なんで死んでしまったのでしょうかね (2023年5月7日 14時) (レス) id: 86ac079c04 (このIDを非表示/違反報告)
kaki - こんばんは。何度も何度も読んでも涙が止まらないです、、涙が枯れるかと心配になるほど、出てきます。素敵なお話をありがとうございました。 (2023年5月6日 23時) (レス) id: 9254c6c927 (このIDを非表示/違反報告)
ミートボール(プロフ) - こんばんは。初めて小説を読んで声が出るくらい泣きました。とても読み応えがあって、「何度でも読みたい」と思う物語でした、、!たくさん小説がある中でこの小説に出会えて本当に良かったと思いました。素敵な作品を描いてくださって本当にありがとうございました。 (2023年3月21日 0時) (レス) @page50 id: abe3749231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年8月12日 2時