おい、歯ブラシ忘れてんぞ。【松田陣平】

Toothbrush｜２６ ページ27

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その後梓さんによれば「安室さんはもう早退しちゃいました」との事で結局会う事は無かったが。いや、会ってどうこうしようとかでも無いのだけれど





『...ただいま』


「おかえりー」


『っは！！？！？』




自宅にこぎつけ扉を押し開ければ上半身裸の松田が煙草を加えて出迎えた



髪の毛が濡れているのを見る辺り風呂にでも入っていたのだろう



首にかけたタオルで濡れた天パをわしゃわしゃ拭きながら松田はリモコンを掴んだ




「ちょっとベランダで一服...の前に明日の天気見るか」




ここに居候する条件として洗濯物係になった松田の日課はその日の天気に合わせて洗濯物を干す事



彼が赤いボタンに軽く触れる





＿＿それよりも、目のやり場に困るのだが。早く何か着て欲しい





[＿＿こちら杯戸の大観覧車です！！見て下さい、このリニューアルオープン初日から既に来場者数千人超えです＿＿]





『...ぁ、』




吐息と共に洩れた声


テレビの画面の向こうから、不吉なタイムリー情報に歯を食い縛った






「＿＿へぇ、あの観覧車新しくなったのか。すげぇな」




＿＿隣の松田は。



深刻そうに言うまでもなく



凄い、のありふれた言葉で片付けた





＿＿何よ、それ。その観覧車、覚えてないわけ無いでしょ





リポーターがそこの責任者に話を聞く場面で松田から強引にリモコンを奪い取りスイッチを押して切断した




黒い画面に映るのは、固まったままの松田と、肩を上下に揺らす私





「...何カッカしてんの？」



『＿＿カッカなんてしてない！』



カッカなんて可愛いもので済ませればマシな方。山が一つ噴火する勢いだ





「お前本当隠し事下手クソだよな」



『＿＿わっ、...って、ちょっと！！』





松田に腕を掴まれ肩を壁に押し付けられる



壁に松田が手をつけば壁ドン状態




『変態！露出魔！！離れなさいよ！！！』


「あ"ぁ？俺の裸なんて生前ベッドの上で散々見ただろ」


『こんっの...！！無期懲役、死刑よ！！！』


「お前そろそろ寝室連れ込まれて泣かされてぇか？」


『アンタにベッドの上で優しくして貰った事なんて無いわよ！！！』




ヒートアップする互いの口論にとうとう松田がブチ切れた





「お前は！！何隠してんだっつってんだろ！！？さっきの観覧車か！？ならちゃんと言え！！！」




松田の怒濤に思わず肩を揺らす

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