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Toothbrush|13 ページ14




車を7、8分走らせた先に見付けたファミリーレストラン



暖かみのある店内へ足を踏み入れた




禁煙席には学生や子供連れ、家族



...に対し、喫煙席は驚く程にあちこち空席ばかりだ




「お一人様ですか?」


『...はい。一人です』


「席は禁煙席と喫煙席、どちらになさいますか?」


『__喫煙席で』



声をかけてきた店員に案内してもらい一番隅に腰掛ける



『本当にアンタの事見えてないのね。何だか不思議』



自分だけが体感しているのだと思うと変な感覚でしかない



一つのメニュー表を広げた



「こんな夜に一人寂しい女だなって思われねーか?」


『そう?私は松田が居るから全然平気だけど』




ただ何げなく口にした言葉でも松田にとっては違ったらしい



メニュー表を前に睨み付ける自分は目の前の松田の顔が赤い事なんて露知らず



「お前、そういう事他所で言うなよ」


『は?言うわけないでしょ。死んだ松田はここに居ますとでも言うの?』


「そういう事じゃねぇよ...」



溜め息をついて空を仰ぐ松田にハテナが増えるばかり





『んーー...私鯖定食にする。松田は?』


「じゃ、俺お前の食う。食費も抑えられんだろ」


『...別に遠慮しなくていいのに』




まぁそれはそれで松田の優しさというか。今回は素直に受け取ろうと思い『次は遠慮無しだから』と言って呼び出しボタンを押した



案外にも早く出てきた定食をテーブルの真ん中辺りにずらす




『んー!!鯖ふわっふわ。美味しい』


「俺にも食わせて」




松田の言葉に手にしていた箸を渡すが受け取ってはくれまい



『...何で取らないの?』


「Aが食わせて」


『はっっ!!?』


ふざけた申し出に熱が上がるが、目の前の男は急かすように口を開いた




「ほら、早く」


『ばっっかじゃないの!!誰が公共の場で、』


「おっと、いいのか?俺が箸を持ててもポルターガイストになっちまう。...それに、お前は空中としゃべってる変わり者だと思われんぞ?」



な?と催促を求める松田に『な?じゃねぇよ』と吐いて仕方無しに周りに視線を凝らす




...今なら誰も見てない。チャンスだ



腹を括るのは決まって早いため松田の口に鯖をガッツリ突っ込んでやった



「おっまえ...これじゃ幸先不安だぞ」


『そんなのどうだっていいの。鯖の感想言いなさいよ』


「皮パリパリ身ふわふわで旨い」


『でしょ』




自分が振る舞っている訳でも無いのに得意気になって微笑んだ

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設定タグ:名探偵コナン , 松田陣平   
作品ジャンル:恋愛
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ふぐひらめ(プロフ) - 自分の目が土偶のように腫れあがってしまいました。松田も西城ちゃんも悪くないんだよなぁ、でも報われねぇんだよなぁ…。もし余裕が出来ましたら、この二人の普通にイチャコラしてる話が読みたいです!生前の、になるのか別世界パロになるのかはお任せします。 (10月9日 11時) (レス) @page50 id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
輪廻(プロフ) - 大変面白く、続きが気になってしまって一日で読破してしまいました…何処を探しても、こんなに泣いて考えさせられた小説はありません…!素晴らしい作品を、本当に有難う御座います! (9月30日 9時) (レス) @page50 id: 6cfce3c49c (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 何度見ても涙が止まらないです。本当に、なんで死んでしまったのでしょうかね (2023年5月7日 14時) (レス) id: 86ac079c04 (このIDを非表示/違反報告)
kaki - こんばんは。何度も何度も読んでも涙が止まらないです、、涙が枯れるかと心配になるほど、出てきます。素敵なお話をありがとうございました。 (2023年5月6日 23時) (レス) id: 9254c6c927 (このIDを非表示/違反報告)
ミートボール(プロフ) - こんばんは。初めて小説を読んで声が出るくらい泣きました。とても読み応えがあって、「何度でも読みたい」と思う物語でした、、!たくさん小説がある中でこの小説に出会えて本当に良かったと思いました。素敵な作品を描いてくださって本当にありがとうございました。 (2023年3月21日 0時) (レス) @page50 id: abe3749231 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年8月12日 2時

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