セカンド

41 ページ41

「･･･美味しい」
「本当良かった！本当はもっとトロトロだったんだけど…温め直したら固くなっちゃって」
「ごめんごめん。食欲よりも宏光が食べたくて」
「･･/////」


食事を小さなテーブルで二人で向き合って囲む
親子丼を美味しいと食べてくれることが嬉しい


「母親の親子丼が好きなんだけど･･宏光の親子丼も好きかも」
「本当！？胃袋掴めた！？」
「掴めた掴めた」
「おっしゃー！じゃあ次は何食べたい？」
「んー、肉じゃが･･･？」
「おっし！頑張る！」
「楽しみにしてる」


横尾さんにレシピを教えて貰おう。
料理教室で習った肉じゃがを先輩に披露したら、薄って怪訝な顔をされたから



･･･次、があるんだよな？
そう思っていいんだよね？



「肉じゃが･･･の他には何が食べたい？」
「んー、ハンバーグ？そんなにすぐ思い浮かばないよ」
「そうだよな。ごめん」


喜んでほしくて
次の次の約束もほしくて
自然と焦ってしまって聞いてしまっていた


「じゃあさ、食後のデザートは俺が今度は準備するね」
「え、いいの！？」


藤ヶ谷さんがそう言ってくれる
藤ヶ谷さんからのプレゼントは何でも嬉しい
例え甘いものが苦手でも



「ん。何がいい？」
「･･･ゼリー？でも何でもいいよ？太輔の食べたいものが俺も食べたい」
「じゃあさ･･」



藤ヶ谷さんが俺の隣へと移動して
耳打ちした


"宏光が食べたい"


もう。なんなの、この人･･･
それはまるで少女漫画のワンシーンみたいで
他の人が言っても寒いことを
この人が言うと魔法のように色気を帯びている



「･･たくさん食べてもいいけど。飽きんなよ？」
「んー、それは約束できないかも」


どうせ飽きられる
その日まで･･


駆け引きなんて出来るはずもない



「飽きさせないように頑張るし」


ただの客として触れ合っていた時より今のが好き
昨日より今日の方が好き



「宏光ってさ、可愛いーね？素直で」



本当は、素直なんかじゃないんだけど
自分を変えてまで好きになってほしいから
駆け引きなんて上手くいかない相手にはストレートに伝えていくしか術が分からない



「今日、泊まっていってもいい？」
「え！！」
「･･･ダメなの？」
「大歓迎すぎる！」


予想外のお泊まりに嬉しくなる
今日も彼女はいいの？だなんて野暮な事は聞かない


「そーいえば宏光ってさ、俺のどこが好きなの？」
「･･･どこだろ」
「ほら、顔とか性格とか」
「全部が好きすぎて。わかんねー」



本当に。

42→←40

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す