セカンド

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横尾さんのよく分からない嫉妬と告白を受けながらも仕事を終え、定時早々に自宅へと帰る。


スマホにはショートメールで"仕事が終わったらご連絡ください"と届いていた。
帰り道の電車でショートメールに念の為に住所を入力して送った。


そして帰宅し、出勤前に軽く掃除はしていたけど、改めてメッセージを送る。



駅からの通り道確認した藤ヶ谷さんの美容院は既に暗くなっていた


待たせてしまったことが申し訳なくて、
メッセージを送り、そのメッセージの電話番号に電話をしてみても、何も返信も折り返しもなかった。



藤ヶ谷さんがご飯を食べてるか分からなかったけど
今日は午後から雨で少し寒いからグラタンとオニオンスープを作って待っていようと思った。
もし、食べないならそれでいい。
何かをしてあげたかった。
こんな日が来るなんて夢にも思わなかった。
ただ、客として美容院に行き藤ヶ谷さんと話すことだけしか出来なかったのに。
すごく幸せだ。
遅いなと思っているとスマホが鳴った。メッセージだったため開いてみると


“ごめん。今日は彼女と逢うことになった”


今日来るはずだった人からのメッセージだった。



幸せだよ。
寂しくないよ。


例え一番じゃなくとも。
あの頃に比べれないくらい幸せ。
来たい、そう言ってくれただけで。
貴方の気が向いた時だけでも来てくれれば充分。



「グラタン、余っちゃったな」


明日のお弁当にでもいれようと、自分の分だけテーブルの上に置いてもう１つは冷蔵庫にしまった。
こんな雨の日には貴方は一番大切な人の元に行きたくなるんだよな。
分かるよ。
だって、俺もすごく逢いたい。
一人で食べるグラタンは美味しくなくて。温かいはずなのに冷たく感じてしまった。部屋も湿気でじめじめしていて、先程と温度は変わってないのに。
急にそのじめじめが不快になってくる。



食器も洗うことなくテーブルに置いたまま寝転がった。


「藤ヶ谷さん・・・」



逢いたいよ。
彼女のところにいかないで。
そんなこと言う資格もないけど。
まだ関係も始まってもいないから。
始まることすらわからない。


横尾さんの愛人宣言
藤ヶ谷さんの恋人のためのドタキャン



「何やってんだろ･･･俺」


藤ヶ谷さんのキスに喜んで
横尾さんのキスに流されて


やばい。
寂しい…


鼻がツンとして


そのまま横尾さんに連絡をすることも忘れ
ベッドで寝ることもせず、
床に寝そべったまま眠りについていた。

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