セカンド

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ぼーっと横尾さんのことを思い出してると
肩を軽くトンとされ、我に返る


「北山さん？」
「、すみません」
「こちらこそすみません。何度かお呼びしたんですが」
「ぼーっとしてました」
「お疲れなんですね。今日もしっかり頭をほぐして癒しますから。シャンプー台へとお願いします」
「ありがとうございます」



周りには、平日だと言うのに今日はお客さんが多かった。梅雨の季節は混雑すると言っていたからその影響だろう。梅雨も終わりがけだけれど。



ほとんどのスタッフはお客さん対応についていた。
ただ、アシスタントの子は何人か浮いている


きっと今日のシャンプーはアシスタントの子かなーと思いながらシャンプー台へと着くと、藤ヶ谷さんが椅子を倒してくれた。


･･･あれ？
変わらないの？


いいんですか？とか聞くのもおかしい。


シャンプー台はカットのエリアと少し離れていて、
他のエリアから見えなくなっていて軽く個室になっている
今、ちょうどシャンプー台のエリアには他の人がいなかった。



「倒しますね」
「お願いします」


椅子がゆっくり倒れていく
このあとタオルを顔の上に置かれて
お湯で髪を流していきシャンプーで洗いベッドスパをして流す･･･


緊張を解すためそう手順を思い描きながら瞼を閉じると


3秒後･･･


唇に柔らかいものが触れた


タオルじゃない･･･


この感触を知っている


ビックリして思わず瞼を開けると、


目の前に藤ヶ谷さんの綺麗な睫毛があった。
瞼を閉じていた藤ヶ谷さんの瞼が開き
至近距離で視線が重なる
それは腰を屈めて、
顔を近づけキス･･･をしていたということで



「･･･あの日から、北山さんが忘れられなくて」



あぁ･･･もう


本当にずるい



近くには貴方の彼女がいるのに



それなのに、一度離れた唇はそう言うと
また重なった。


藤ヶ谷さんの唇で塞がる


こんなの、抑えられるはずもなく･･･



「･･･俺も、です」


そう言って見つめ返した。


このままここでひとつになりたいとさえ思う


そんなこと無理なのに。


身体だけでも、いい


本当は嫌だけど…


ココロまで欲しいんだなんて言わないから･･･だから。



「･･･藤ヶ谷さんの好きにしてください」



飽きるまででいいから


そばにいさせてください…



「･･･今日、仕事終わった後....北山さんの家にお邪魔してもいいですか？」
「もちろんです、」


横尾さんのことも忘れて、そう即答してしまっていた。

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