セカンド

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男性講師は男子生徒への配慮
女性講師は女子生徒への配慮


これがこの予備校のしきたりだった。
誤解をさせセクハラで訴えられないようにするため。
そして、生徒が受験というストレスで潰れてしまわないため。


こんな事言ったら、講師として失格かもしれないけど。
大学がすべてじゃない。
自分自身が潰れてまで行くところじゃない。


藤ヶ谷さんみたいに、大学を卒業していなくても立派に素敵に働いてる人だってごまんといる。


でも受験生は余裕がなくそれが分からない。
だから、余裕を作ってあげることも大切な講師の仕事の一環だった。



「北山先生、ありがとうございます」
「ん。これ内緒な」


ホントは生徒にモノを個人的に与えるのは禁止されている。でも、外のベンチには誰もいなかったから近くの自販機で甘めのジュースを買って一本渡す。



「疲れには糖分な」
「･･･美味しいです」



透き通るような白い肌は外であまり遊んでいなかったのが伺えた。
藤ヶ谷さんの健康的な肌とは対照的だなぁとふと頭を過ぎった。
って、生徒と比べるなんて最低だ。どうかしてる。



「あーあ、数学も北山先生に教えてもらいたいです」
「いや、教科じゃないから」
「っていうか、全教科北山先生がいい」
「・・・へ？」
「さっきの問題といい、北山先生が一番教えるの上手だと思います」
「え、それはないけど…どーも」



ベタ褒めしてくる玉森に警戒心がでてくる。
そんなに褒められても、何もでないけど。



「いつも先生見てたいなー」


・・・ん？


何を言っているかよく分からなくて玉森の方を見ると、"なんでもないです"と笑った。



少し元気が出ただろう玉森に安心しそのまま二人で自習室へと戻って、玉森からの質疑に応答をした。



その質問内容は玉森なら分かるんではないかと思うものばかりで。
案の定、玉森は簡単な解説をしたあと、すぐ問題を解いていた。

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