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玉森は頭が良い。というか育ちが良くいい所の子だった。小中高一貫で大学も付属であるけれど、国立を希望してることから現役でこの予備校に通っている。
英語もペラペラで。
正直俺の教えなんていらないんじゃないかと思っている。
TOEICとかあいつ多分850点は推定でありそう。
メガネをかけている。シルバーのふちが細いメガネ。似合うなぁと思う。
メガネ越しにたまにガン見されると、その瞳に吸い込まれそうになったりもする。不思議な生徒だった。
自習室は仕切りがあって、半個室になっている。
後ろから生徒を確認し背中越しに玉森を探す。
と言っても、あいつはいつも端に座るから見つけやすい。スラスラとシャープペンシルの音が進んでいる。勉強している科目は彼が苦手としている数学だった。数学・・・か。
玉森の手が止まる。
あ、そこわかんないのか?
背後から覗き込むと、各デスクにある蛍光灯の光が俺の影で薄れて照らしている問題用紙が暗くなる。
「北山先生」
そんな俺に気付き見上げてくる玉森。
「ここは・・・こう証明すると思う」
デスクに置いてあったシャープペンシルを手に取り、止まっていた箇所に自分で見つけられるようヒントを書いてやる。
そのヒントを見て閃いたのか、止まっていたペンが進む玉森。
「ご名答。すごいじゃん」
「先生って何でもできますよね」
「全然。お前が解いたんじゃん」
俺は初歩的なヒントしか与えてない。
むしろ今は6月の頭だ。
玉森がやっている証明は3年生の秋頃出てくる範囲。
さすが一貫校。その範囲をもう復習させてるんだと知る。問題集には何度も消した跡があった。
「これ、何回解答見ても、先生に聞いても理解して解けなかかったんです。今の北山先生のヒントで全て繋がりました。ありがとうございました」
ご丁寧に御礼を言ってくる玉森。
何か生きづらそうだなって思う。
親が金持ちだと幸せだと思っていたけど、
少なくともそれは重圧でもあるんだなぁと玉森を見て思う。
「いえいえ。先生しただけですから」
そう笑って、背中をポンっと叩いてやる。
切羽詰まってそうなその表情を見て見ぬふりはできなかった。
「ちょっと、外の空気吸いに行かねー?」
「え?」
「今日、すっげー天気いいの。梅雨前に拝んでおいたほうがいいぞ。な?」
「はい」
そう言って、玉森を連れ出す。
何も玉森だけが特別じゃない。
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まいまい(プロフ) - ドキドキしすぎて私も好きな人の都合のいい相手になった気分です…宏光の気持ちがわかりすぎて切ない…ファーストも読みます!、 (2021年6月7日 8時) (レス) id: f1bcc9ce7b (このIDを非表示/違反報告)
R.Y kano(プロフ) - コメント失礼致します(_ _)セカンドとても面白かったです!ファーストも読みたいのですが作者様のページを見ても載ってなくて、どこから探せばいいですかね(--;) (2019年2月9日 9時) (レス) id: bbd6053d3d (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - ももさん» 私も詳しくなくて、そうしていただけるとありがたいです (2018年8月11日 15時) (レス) id: cd6021df3e (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - りなさん» りなさん 遅れてすみません!設定で年齢のところだとは思うのですが、初心者で詳しくなくすみません、もしよければメッセージでリンクなどお送りしましょうか?(ノ´▽`)ノ (2018年8月11日 9時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - ももさん» お返事ありがとうございます。どうやったら見られるようになるかおわかりになりませんか?セカンドとてもおもしろかったのでファーストも見させて頂きたいです。 (2018年8月10日 1時) (レス) id: cd6021df3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2018年6月2日 22時